前トーナメント優勝者の実力
「動けな~い!」
開始早々、相手は地面に張り付けられていた。
勿論俺のシッディである。
「あなたはベクトルの向きを操作する力
だが、物理量にはスカラー量とベクトル量がある
ベクトル量は力や速度など向きと大きさを持つ物理量で、一方スカラー量は質量や温度などの大きさのみを持つ物理量!
質量を増やされたあなたは向きを操作できず、もう動けないはずです」
「私重くなっちゃったってことぉ?最悪~
降参よ降参!」
「そこまで!勝者、空!」
俺の勝ちか。
敵が弱すぎて張り合いないな……。
とりあえず後は試合観戦でもしよう。
Bブロックの半ばで、気になる試合が始まろうとしていた。
ヴィジュニャーナ対パンである。
パンと言えば前トーナメント優勝者、出来れば今のうちに戦い方を見ておきたい。
「トーナメント優勝者だからって怯まないんだからねっ!」
「確か、空くんの知り合いの知り合いだよねー?
よろしくね!」
「か、軽いわね……何か調子狂うわ……」
あのヴィジュニャーナが調子を崩されるとはな。
「試合開始!」
審判の右手が降り下ろされた。
消えた……!?
試合開始直後、パンとヴィジュニャーナの姿が見えなくなった。
どういうことだ……?
試合開始前にシッディを使うのはルール違反、開始直後パンのシッディが使われたのか?
しばらくして、突如パンがコロシアム内に現れた。
瞬間移動の類いか?……コロシアムから出てはならないというルールはないしな。
「そこまで!勝者、パン!」
短期決戦過ぎる。
ヴィジュニャーナが速攻勝負に向いてないのもあるが、これが前トーナメント優勝者の力か。
またちょっとして、ヴィジュニャーナが突然現れた。
「シッディ聞いたときから勝てない気はしてたわよ!
本当、強すぎるわ……」
「ごめんねー、私も二連覇したいからね!」
そんなこんなで日が沈む頃、一回戦が終わった。
俺の知っている奴はヴィジュニャーナ以外皆勝ち越しか、こりゃ身内争いになりそうだな。
さて、次の日の二回戦に備えて休むか。




