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文化祭は友達作りの場でもあるのかもしれない

「ここは……四回生の教室ですね

入ってみましょう!」


 周りの目が気になる……どうか目立ってませんように。


「師匠!来てくれたのか!」


「師匠……?」


 四回生として数ヶ月だけ学園で過ごすことになったガルバがそこにはいた。

 人が俺を師匠と呼んだことを、マヤが不思議がる。

 弟子にしたわけじゃないんだが、あれ以来ガルバは俺のことを師匠扱いするようになった。

 アーサーさんに会ったのもこのシッディもガルバに勝てたのも他人のお陰だし正直後ろめたい。


「俺は師匠なんかじゃないって」


「あれー、君はあの時の!」


 更に現れたのは、理学部部長のパンさんだった。

 なるほど、この人も四回生か。


「パンちゃんは師匠をご存じなのか?」


 ガルバにもパンちゃんって呼ばせてるのかよ。


「うん、その師匠くんがガルバちゃんを倒せたのも、私のお陰だからね!」


「その節はお世話になりました」


「いやいや、君が戦争の始まりを止めたのは事実だしね

それに、君が学園を統合するように言ったお陰で、私はガルバちゃんとも友達になれたんだし!」


 え?ガルバにも友達が出来たのか……。

 そうか、良かった良かった……うん。


「ところで、ここのクラスは何をしてるんですか?」


 と、マヤが尋ねる。


「カントリーの歴史博物館だが……お前は誰だ?

師匠には友達はいないはずだが」


 いや、その通りなんだけどさ。


「私はマヤです!

空さんとは腐れ縁というか……そんな感じです」


「この子空くんって言うんだぁ

で、マヤちゃんは空くんのことどう思ってるの?」


「うーん、毒にも薬にもならない人ですかね」


 ぼっちはいつもこうだ、他人からは0かマイナスの存在としか見られない。

 今回は0だったというだけの話。


「毒にも薬にもならない!それはまた面白い意見だねー」


「私にとって師匠はメシアだがな」


「飯屋?」


「メシア!救世主のことだ!」


「何でわざわざカタカナ語で言うんですか!」


「ガルバちゃんはこういう所があるからねー」


「「「あはははっ!」」」


 何か会話が盛り上がってる……。入れないけど。

 と思っていると突如、マヤの顔が暗くなった。


「……楽しいですね……」


「マヤちゃん?」


「どうしたのだ?マヤ」


「私、しばらく同じくらいの年の人とこういう会話とかしたことなかったから……

凄く楽しいんです」


 そういえば、マヤは昔大変で文化祭もまともに参加できなかったとか言ってたっけ。

 今は医者をやってるから、高齢者や年下の子と関わることが多いのかな。


「何言ってるのー!私達とマヤちゃんはもう友達だしこんな会話もするよ!」


「お友達……ですか?」


「そうだ!私も友達がいないことの辛さは分かっている

友達になろうではないか!」


「パンさん……ガルバさん……」


 ぼっちの目の前で友達が出来上がってる……。


「パンちゃん!って、呼んで!」


「は、はい、パンちゃん!」


 ……。

 あれ?これ俺いらなくね?


 三人以上が集まると必ず俺が会話に参加できなくなるんだよな、昔からこんなんだった。

 そしてそんなときどうするかと言えば……。


 静かにその場を立ち去るのみ!

 誰も俺のことを気にしてないし、いなくなってもこの感じなら大丈夫だろ。

 何より俺がこの空気に耐えられん。

 俺はこの力がなければ、戦いがなければ、誰にも見向きされない人間ってことがこれでよく分かったよ。

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