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 再び、ガルバの()に戻ってくる。

 ダーラはあのとき俺のシッディを知っていて、メタを張ってたからこそ、俺のシッディは無効になった。

 つまり、過去に戻って誰も俺を知らない今の状況では無効化されないのだ。

 昼過ぎだが、ガルバはそこにいた。


「君は誰だ?」


「私は空、戦争を止めるために来ました」


 初めて会ったときの癖で、敬語になる。

 意味がないことは分かってるんだけどな。


「ほお、もう私が第三戦争を起こそうとしていることに気づいたのか?

じっくり地盤を作って、12月頃にネーションへ攻めるつもりだったのだが」


「大体知ってますよ

あなたがアチュートで苦しんでいたことも」


「私の身の上まで……

ハッハッハ!どんなシッディかは分からぬが、それなりに強力らしい」


 もちろん、シッディではなく遠くの可能世界まで行った弊害だ。

 そんなことは互いに興味もなく、ガルバは、自分の思いを語り始めた。


「私は、つらかったんだ

仲間がいなかったことがつらかった

そんな世界が憎かった

そう、私に仲間がいなかったのは周囲の人間全てのせいだ

シッディが使えない?だからなんだ?

何故弱者に優しくできない!何故私を否定する!?

だから私は、逆に周囲の人間を変えた

周りが私を否定するのなら、私が周りの価値観を否定しよう

そして、私はこの世から差別を排する

差別とは、男女差別や地域差別などだけではない

無能差別、顔差別、趣味差別……あらゆる差別を消す

幸い、私達には神から貰った力がある

シッディなら根本現象だって変えられる」


 これはラスボスだな、間違いない。

 異世界転生した俺に用意された、自分の考えを吐露するラスボスだ。


「私には夢がある!

人類を一つにすれば、この世から差別はなくなり、それどころかこの世界の神すら越えられるかもしれない

そう、私達人類は一つの存在となり、唯一全能神となるのだ!

そしてこの世から悲しみを無くすのだよ!」


「……一つ言わせてください、私にも友達がいません」


「なんだ、同類か!

私に協力してくれるのか?」


「あなたの部下も言っていましたよ

未熟者ほど今の環境に文句を言うものだ、と

言われてみて、少し考えましたけど、確かにそうだと思ったんです

私がぼっちなのは友達を作らないんじゃなくて出来ないからですが、だからといって出来ないことに文句を言ってもしょうがない

そう、私は未熟者じゃないから、ぼっちであることに文句は言わないし、ぼっちでなくなろうとも思わない!」


 自然と口から出た言葉だった。

 ぼっちだからといって、俺は誰かに負けたとは思わない。

 ましてや、ぼっちにした周りを恨むこともしない。

 ぼっちになったのは自然の摂理、神の悪戯で、そこに善悪なんかない、

 本当は負け惜しみで、友達がほしいのかもしれない、友達になろうと誘われたらなっちゃうかもしれない。

 でも、俺は、ぼっちでありたいんだ!


 だからこそ、ぼっちであることを悔やみ、自分を卑下するガルバが許せなくて、つい口から言葉が出てしまったのかもしれない。


「ハッハッハ!

つまり、私は下らぬことに劣等感を感じていたと?

むしろ、貴様がムーラやダーラ、プラーナという友達が出来た私に劣等感を覚えるべきではないかね」


「友達は重荷、これはカントリーの諜報機関の合言葉です

諜報機関は初めプラーナ一人だった

つまりこれはプラーナの言葉

プラーナにとってあなたは友達ではない、むしろ利用できる道具に過ぎなかったんです

そのままではいずれ裏切られますよ」


「プラーナが裏切る?

あり得ない、友達は裏切らないものだ

彼女らは私を裏切らない!!

お喋りもここまで、貴様と話しても要領を得ないようだ……

今すぐ死ね!!」


 シーン。

 少しの静寂が流れ、 ガルバが口を開く。


「馬鹿な!なぜ私のシッディが発動しない!」


「自然演繹を扱うシッディだって知ってますからね

ダーラもシッダ戦は情報量とメタが勝敗を分けるとかなんとか言ってましたし」


 まるで七曜の武器を手に入れてからラスボスに挑むような気分だった。

 つまり、ボスなのに雑魚ということである。

 シッディの封じ方は分かっているので、相手は無能力者同然。

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