必然性と可能性の間で
「これは……!」
目の前には、バラバラとなった二つの死体が落ちていた。
俺にはそれが誰か分かっていた。
「アストラル、マノ……」
思わず名を呼ぶが、返事はない。
「遅かったな
おや、プラーナ、どうして……」
「僕はネーションの味方になったんだよ
ガルバ、君には可能性を感じられないからね」
「私を……裏切るのか?」
「その通り」
「私を裏切る……だと?私は孤独では……孤独ではないはずだ……」
突如戸が開く。
そこに立っていたのは、遅れてやってきたアンナとヴィジュニャーナだった。
「何よこれ……」
「まさか……アストラルさんとマノさん……?」
二人も、その凄惨たる光景に開いた口が塞がらない。
アンナがこちらに詰め寄り、涙を浮かべた顔で、
「空……あんた何してたの!?」
と叫んだ。
返す言葉もない。
心のどこかで俺はアストラルが勝ってくれると信じていた。
そんな奴があっさりと殺された事実を、軽く受け止めることはできない。
「もういい!」
うつむいて黙っていた俺を見て、アンナがその場に泣き崩れた。
友達を作らなければ、そんな思いはしなくて済むのにな。
「もう人の血が流れるのは見たくなかったんじゃがの……
空がワシを助けに来ていた間にこんな……!」
戦争嫌いのジャンヌ様も、悲嘆にくれる。
って、待てよ……。
俺が初めて会ったマヤ、あいつのシッディなら治せるかもしれない!
「ヨーニ、マヤなら治せるんじゃないか?」
「無理です兄君さま……
マヤさんのシッディはシッダには使えないんです」
そんなの初耳だぞ……。
まあ、シッダに使えたら学園専属医師とかになってるか。
やっぱりアストラルはもう助からない。
やれるのは敵をとるだけだ!
「ガルバ、この敵は取らせてもらう」
「……」
ガルバはうつむいていて返事がない。
「待ってください!アストラルさんを助ける方法ならあります!」
アストラルを助けられる……?
ヨーニのその一言に、アンナが食いついた。
「何よそれ!あんた誰か知らないけど助けられるなら方法を教えて!」
「この世界には、時間や空間を操るシッディ、正確にはミンコフスキー時空を操れる人がいたんです
それで過去に戻ってやり直せば……」
「それって……」
ヴィジュニャーナが察したのか苦悶の表情を浮かべている。
「はい、アーサーさんです」
「アーサーって……確か死んだんじゃないのか」
「その通りです
しかし、隣の隣の……と可能世界を辿っていけば、アーサーさんが生きてる可能世界もあるかもしれない!」
「そんなこと出来るのか?
そもそもお前は隣の可能世界について知ることしか出来ないだろ?」
ヨーニは、隣の可能世界のことを知ることが出来るらしいが、干渉することは出来ないはず。
そんな俺の質問に対して、ヨーニがこう答える。




