順序関係
カントリーの女を倒した俺達は、急いでカントリーの学園へと向かっていた。
道中の町で馬を2頭借り、ヴィジュニャーナの力で最高時速を大幅に増やしてもらって、俺とヴィジュニャーナ、アンナとマヤで1頭ずつ乗って走っていた。
今は夜中で辺りも暗く、町中なんか怖くて走れないので町外れの草原を進む。
談笑する余裕もない。
そんなこんなでカントリーの学園へと到着した。
「ここがカントリーの学園か」
「何よこれ……随分立派ね」
「ネーションも立派だけどな」
「遂に帰ってきちゃったわ……」
ヴィジュニャーナにとっては母校、思うところがあるのかもしれない。
とりあえず城の中に入り、辺りを歩き回る。
あの人の言っていた通り、学園内に人影はない。
とりあえず上の階を目指して歩いていると、緑髪の女性に出くわした。
「早かったな
この私、ムーラがお相手する」
「ムーラ……」
「裏切り者のヴィジュニャーナか
ガルバ様は大して気に留めていないようだが、私達は気になっていたよ
どうして私達を裏切った?」
「カントリーの学園は下の者のことを考えてない!
アチュートだけじゃなく、スードラや私達ヴァイシャ、ムーラとダーラのいたクシャトリヤだって酷い扱いを受けてきたわ!」
「だが、それが国のためだ
私達はその恩恵を受けて育ってきた
その上、今はもうガルバ様によってその制度が廃された」
「結局ガルバの独裁じゃないの!何も変わってないわよ!」
「妹、ダーラも言っていた
未熟者が今の環境に文句を言うと」
未熟者が文句を言う……か。
俺も未熟者だが、ネーションに文句を言ったことなんかない。
いや、テストの結果をランキングで出すのはやめてほしかったけど……文句を言うほどじゃない。
「いいえ、カントリーが悪いのよ!
それを分からせてあげるわ!」
ヴィジュニャーナは激昂しているが、アンナはさっき痛い目を見たせいか、敵だと分かってても動こうとはしない。
最初に動いたのはヴィジュニャーナだった。
「アンナさん、シッディを!」
「え?わ、分かった!」
ヴィジュニャーナの指示でアンナが矢を飛ばすと、ムーラは軽々と避けていく。
「どういうこと?」
俺が質問すると、ヴィジュニャーナが答えてくれた。
「ムーラのシッディは順序関係を操作する力!
順序関係っていうのはいわゆる"∈"とか"<"のことよ!
アストラルとマノは相性悪いから先に行って!
ムーラの双子の妹、ダーラはムーラの下位互換だから二人でもなんとかなるわ!」
何で相性悪いのかよく分からんが、とりあえず二人で先を目指すことにする。
「何よそれ!私だってアストラルと行きたいのにー!」
「あんたはムーラと相性良いらしいからしょうがないよ!
文句言うな!」
アンナとマノが何で争ってるのかもよく分からんが……無視しよう。




