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封じられたシッディ

 城の中にいる。

 俺、海濶空はシッディで敵将の元を目指し瞬間移動してきたのだが……。

 眼前には赤い大きな扉があり、その扉の前に大学生くらいの緑髪の女の子が立っていて、左右には長い廊下が続いている。

 女の子がいる以外はまさにRPGに出てきそうな城の中である。


「ガルバ……か?」


 敵将の元へ来たはずなので、この緑髪の子がガルバということだ。


「違う」


 が、予想と反する答えが帰ってきた。

 俺のシッディが失敗したのか……?


「驚嘆しているな

君のことは聞いている、空」


 俺のことを知っている……。


「プラーナの仕業か……」


「ああ、そうだ

ところで、ヴィジュニャーナは元気にしているか?」


「カントリーのやり方が気に入らないって、お前らを裏切るぐらいには」


「未熟者ほど今の環境に文句を言うものだ」


 それは、そうかもしれないが……。


「……とりあえずガルバはどこだ?」


「ガルバ様をわざわざ出すまでもない

お前はここで死ぬ」


 目がマジだ。

 こいつは本当に俺を殺そうとしている。


 なら当然手加減なんてない!

 背後に瞬間移動……


「出来ない……!?」


 ガルバの元に行けなかったのはただの失敗じゃなくて……こいつのシッディ!


「シッダ同士の戦いにおいて最も重要なのは情報だ

メタ能力であればあるほどその場の戦いで強力になる」


「……?」


「例え戦闘で役に立たないような能力でも、考えようや相性でお前みたいな奴も相手に出来るからな」


 確かに俺は、何故か相手のシッディによって能力を封じられている。

 何がメタなのか分からない以上、手の打ちようがない。

 メタが強いというのは事実のようだ。


「行くぞ」


 女が身構え、こちらに向かって駆け出してきた。

 当然長い廊下を使って逃げる。

 しかし、明らかに向こうの方が速い!

 やはり引きこもっていた体ではダメか……。


「こうなったら……」


 女の方を振り向き、肘を引き、握りこぶしを背の方に回す。

 速さで勝てなくても、さすがに女に力で負けることはないはずだ。

 気合いを入れ、一気に女を殴ろうとした瞬間、俺の体は後ろに吹っ飛んでいた。

 俺の方が早く殴る準備をしていたのに、先に女の打撃が俺の頬を直撃していたのである。


「ぐっ……」


 頬を手で擦りつつ、女の方を見る。

 女は無言でこちらに歩み寄ってくる。

 ポケットに手を突っ込むと、ナイフを取りだした。

 あのナイフで俺を刺殺するつもりだろう。


「あっけなさすぎですね

さようなら」


 俺は……死ぬのか……。

 せっかく異世界転生したのに、こんな簡単に命を失うのか?

 今流行りのループ物……そんなわけないか。

 変な正義感で単独行動して死ぬとか、ただのバカだ……。


 そう……バカだからこそ、考えなきゃ始まらないんだ。


「くそっ!」


 ショックを振り払い、必死に逃げる。

 しかし、軽い脳震盪を起こしているのか、足元がおぼつかず、さっきほどのスピードが出せない。

 それでも、考える時間を……必ず打開策があるはずだ……。


 後ろを振り返ると、女は一所懸命に走っているが、何故か先程より俺に追い付けていない。

 さっきは全力の俺より速かったのに、何故俺が遅い時は同じくらいの速さなんだ?


 まさか……俺より速く走れたのも、俺より速くパンチを出せたのも、奴のシッディ?

 だとすれば、どんなシッディなんだ?

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