有限には終わりがある
翌日かその日の朝か、着替えて待っていた俺は、ガルバの力で教会に瞬間移動させられた。
教会には珍しく大勢の人がいる。
「師匠……本当にいいのか?」
小声で話しかけてくるガルバ。
「頼みます
そうだ、あともう一つお願いしたいことがあります」
「何だ?」
そのお願いを告げると、ガルバは困惑の表情を浮かべていた。
「それになんの意味が……」
「まあとにかく頼みましたよ」
「……分かった……」
俺達の少しの話し合いが終わったのを確認したジャンヌ様が、その悔しさを払うように、大声で観衆に叫んだ。
「これから、この男の島流しを行う!!」
ざわ……ざわ……。
と観衆はひそひそ声で一斉に会話し始める。
よく見るとその中にはアストラル、アンナ、マノ、ヴィジュニャーナ、パン、ムーラ、ダーラ、アナンダ先生、戸卒さんもいた。
「行くぞ、師匠」
「……ああ」
「……シッディは消したぞ!」
ガルバが叫ぶ。
観衆はしんとなる。
俺のシッディは、確かに今後使えぬこととなった。
「続いてこの男を別の宇宙へと飛ばす!」
「……」
いつものような、だが、もう二度と体験できない、景色の溶ける感覚。
俺は、二度とこの世界と関わることはない。
大きく躓いてしまった以上、関わってはいけないんだ。
これからはこうならないようにしないと、という体験を出来ただけでも、貴重だったのだ。
もし一つしか世界を選択できなかったら、体験をしただけでもう手遅れなのだから。
いや、世界というのは個人の裁量でしかないのかもしれない。
例え一つの会社で失敗しても、また別の世界があると考えられるかもしれない……。
逃げる、という選択肢は常にあることを意識した方がいいんだ。
そして、逃げるのに不都合な存在、それは……。
……