自分を越えし者
「……なるほど
整列集合は確かに存在する
それを君のシッディでω2-アロンシャイン木は存在するに変え、
"ω2-アロンシャイン木が存在⇒ω2-アロンシャイン木の非存在が矛盾"は本来成り立たないのにそれを実現した
よってω2-アロンシャイン木は存在し、"ω2-アロンシャイン木が存在⇒ω2-アロンシャイン木の非存在が矛盾⇒弱コンパクト基数の存在が矛盾⇒可測基数の存在が矛盾"となって俺の可測基数は矛盾し消滅した……
やられたよ、空」
「アナンダ先生のお陰だよ
きっとお前はこれからもっと強くなる
どちらにせよ今回が、最後の俺の勝ちだったんだろうな……」
無矛盾性の強い基数をメタる方法が手に入ったからたまたま勝てた。
だが、可測基数についての知識は確実にアストラルの方が上。
しかも俺の説明をしっかりと受け入れている。
今回勝てた俺の単純な推論を、アストラルは今後大きく越えていくだろう。
「空、リベンジは……出来ないのか?」
「出来ない
俺はもう、今後お前らに会うことはないからな」
「そうか……」
流石に疲れたし明日いつ呼ばれるかも分からない。
そろそろ帰って寝よう。
「俺は寝るよ」
「……僕はやっぱり、君が嫌いだ
でも……、君は、僕のライバルだよ」
「真面目な顔でライバルなんて、初めて言われたわ
……じゃあな」
「ああ……」
自分の寮へと瞬間移動する。
切磋琢磨……か。
例え友達がいなくても、人と関わることで得られるものはある、ということか。
地球に戻ったら、少し人付き合いってやつの物の見方を変えてみようかな……。