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神様を倒すということ

 誰かに会いたい気分でもないが、家に帰ってもやることがないので、何となく辺りを歩いてみると、やはり周囲の人々は行くときと同じ反応だった。


「あの!」


 突然正面にいた男性に呼び止められる。

 20代ぐらいのガタイのいい男だったが、何故かその身は小さく見えた。


「何ですか……?」


「あなた、空さんですよね」


「は、はい」


 俺は知らない人だが……。


「お願いします、この世界から出ていってください!」


 ……え?

 俺はこいつを知らないし迷惑かけた覚えもないぞ?


「何でですか?」


「もうあなたの情報が出回っているんです

神様を倒し、棄糸の偉い人の記憶を可笑しくさせた張本人……

正直怖い、あなたのような人がそんな恐ろしい力を持っていて、皆怯えています」


 ……まさか……。

 棄糸での放送がこんなにも影響があったのか……?


「ちょ、ちょっと待ってください

シッダなら神を倒すことくらい……」


「今までそんなことをした人はいなかった!

トーナメントに優勝するだけならまだしも、神を倒すなんて……

全能の神を倒したあなたは、やろうと思えば世界を滅ぼせるんじゃないんですか?

怖すぎる……子供は泣き、大人は怯えています……

お願いします、この世界から、出ていってください」


 違う!ヨーニは全能なんかじゃなかったし、俺は世界を滅ぼそうとなんか考えてない!

 そう思った俺の口は、涙目になって、睨みながらも怯えている男の顔を見て、開くことができなかった。


 ふと、ヴィジュニャーナがこの世界は酷いレベルでバランスが取れているという話を思い出す。


 神、もといヨーニは生まれたときから存在し、シッディを分け与えていたぐらいだから、この世界の人にとっても多少の信頼はあるだろう。

 シッディを貰った人もジャンヌ様のお墨付きがある普通の人(と言えない奴も多い気はするが少なくとも信頼された人)ばかりだった。

 だが、俺はどうだ?

 友達はゼロ、知り合いも少ない。

 そんなやつが神を倒したら、"何をしでかすか分からない"、皆そう考えるに決まっている。

 実際、棄糸の中では割りと大きい立場だった三世は堂々と俺のことを公表した。

 あれは、自分が信頼を置かれていると確信していたから。

 それでも三世の承認欲求は満たされなかったみたいだが……。


 そんな三世まで倒したのだから、世界を滅ぼせる暴れ馬と捉えられるのも当然……。

 もしこの事をジャンヌ様が知ったら、ジャンヌ様は自分のためにやってくれたんだと言うかもしれない。

 だが、そうなったら……。

 "例えジャンヌ様の言うことでも信用出来ない"と言われたら……。

 傷つくのはジャンヌ様なんだ……。


 ……。


「分かりました、消えましょう」


「!! 本当ですか!?」


「私のシッディが消えるところを皆さんにお見せします

そのあとに私は、別の宇宙へ行きましょう」


「ありがとうございます……!」


 地球はもう復活してる。

 いよいよ帰るときが来たってことだ……。

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