ぼっちなのはいけないと思います!
「また一人?空くん」
椅子に座り目の前の机に本を置いて、頭の中で整理し終わった俺に話しかけてきたのは、アナンダ先生だった。
「ええ
やることもないので、本でも読もうかと」
「ぼっちなのはいけないと思うわ!」
人差し指を立てて耳に痛いことを言う先生に呆れる俺。
「何ですかそれ……」
「いい?空くん
あたしは人付き合いの苦手な人のことはよく分からないわ
でも、一人って寂しいでしょ?」
俺にとってはこっちの方が居心地がいい。
人がいると疲れるんだよ……。
黙ってると、アナンダ先生が話題を変えてきた。
「巨大基数の本?懐かしいわね」
「はい、少し読んだだけで疲れましたけど」
「そうだ、木って知ってる?」
「木……?」
以前グラフ理論とかいうフレーズが出てきたので少し調べたときに、木というのがあった気がする。
木だけに。
「グラフ理論じゃなくて集合論の木ね、あながち間違いでもないけど
そこそこ難しくてあまり本に載ってないから、自力で見つけるのは大変だと思うし教えとくわね
それじゃ勉強と友達作り、頑張って!」
それだけ言って先生は去っていった。
木か……、疲れたけど、もう少しだけ調べてみるか。