宇宙のモデル
教会にはジャンヌ様、パン、ガルバ、戸卒、プラーナ、マヤがいた。
「皆待ってたんじゃぞ、空!」
「そうそう!」
「師匠ならやると思ってたぞ!」
この雰囲気が、物事の終わりを告げているような気がして、一瞬ほっとした。
「戸卒さんもご協力ありがとうございました」
「なーに、当たり前のことをしただけだ」
その後少し談笑して、各自解散する。
お互い疲れたので、マヤに地球を戻してもらう話は二日後に持ち越しとなった。
次の日、食堂で食事を取り、図書館へと向かった。
やることも特にないし。
そこで気になったのが基数の話だ。
以前、アストラルとの戦いでアレフ(ω(ω(……)))とか、よく分からんぐらいでかい基数での戦いになったのだが、強到達不能基数という更に上があるらしい。
そもそも基数の大きさはモデル(構造)によって決まる所がある。
モデルとは、公理が枠組みだとしたらそこに当てはめる具体的な議論領域のことで、例えば構成可能集合からなるクラス、構成可能宇宙Lや遺伝的整礎集合のクラス、フォンノイマン宇宙Vがそうだ。
クラスは簡単に言えば集合より大きい概念のものである。
この時モデルM1のアレフ1とM2のアレフ1では大きさが違うということがあり得る。
今までの戦いではVを前提にしていたようだ。
クラスVは以下によって定義される
・V0=φ(空集合)
・各順序数αに対してV(α+1)=P(Vα)(Vαの冪集合)
(これは、よく知っている自然数がそもそも順序数だったということを思い出せば、V3=P(V2)とか言ってるようなものだと分かる)
・各極限順序数λに対してVλ=∪[α<λ]Vα
(∪[α<λ]Vαはλ未満の各順序数αについてVαの和集合を作るということ
和集合とは例えば{犬,猫}∪{鼠}={犬,猫,鼠}という風に要素を足し合わせて集合を作るということ
極限順序数はsuc(a)=λとなるようなaが存在しないような0でない順序数λのことで、つまりは2の前は1だけどλの前はないってことだ
具体的には、V(ω0)=V0∪V1∪V2∪……みたいな感じだな)
ここで、κを強到達不能基数とすると集合VκはZFC公理系のモデルとなり、クラスVは強到達不能基数κを持てるので考慮できる。
と、準備が整ったところで、ここからが漸く本題だ。