予測変換で「測度」が出せないIME無能
そうだ……俺は交渉になんか乗らない……。
しかし、一方でシッディはどうだ?
シッディが使えなくなる確率は0なのか?
いや、たまたま偶然シッディが誰かにメタられることもある。
あり得ることは起こし、あり得ないことは起こせない……。
つまり、こいつのシッディは確率が0じゃない可能性に移る力?
だが、俺がこいつの誘いを受ける確率が0だとしたら、今こうやって俺を勧誘する意味もない……?
……違う!例えばコインを可算無限回投げて表が一回しか出ない確率は0だが、起きないわけじゃない。
こんなことが大会の時読みまくった本のどれかに書いてあったはず。
面積や体積といった概念を一般化した測度というのがある。
測度μは、ある性質を満たしμ:集合→正の実数となる実数値関数のことだ。
例えば縦1横2の長方形を集合Aとすればμ(A)=2と面積が出てくるし、縦1横2高さ3の直方体を集合Bとすればμ(B)=6になる(正確には区間の考え方を使って計算する)。
これを利用したのが、確率測度だ。
確率は面積や体積とは一見関係なさそうだが、集合に対して実数を当てはめるところが似ている。
例えばサイコロ、確率空間(S,M,μ)を
S={1の目が出る,2の目が出る,……,6の目が出る}、
M=P(S)={φ,{1の目が出る},……,{S}}とし、
C={1の目が出る}という集合に対してμ(C)=1/6と考えれば上手く行く。
ここで、サイコロのどの目が出るかの可能世界を考える。
D1={1の目が出る可能世界の集合}、D2={2の目が出る可能世界の集合}、……などと見ればμ(D1)=……=μ(D2)=1/6となる。
これこそが……確率測度が0でないような事象が起こる可能世界に移る力が奴のシッディ!
μ({俺のシッディが使えなくなる可能世界})≠0だからこの可能世界に移れて、μ({俺が三世に協力する可能世界})=0だから移れなかった。
しかし確率測度0は空集合ということにはならない。
一次元のとある一点aを考えて、一点集合{a}の測度はμ({a})=0だが要素はある。
これと同じで、俺が三世に"ほとんど確実に"協力しないとしても、そういう可能世界がないとは言えない、だから三世はその可能性を引き出そうとした!