かの地へ
聞いたところによると、戸卒さんは哲学系のシッディ。
あの時責任がどうの言ってたのはまさか……。
「ジャンヌ様、以前哲学系のシッディは波乱を生むって言ってたよねえ?
戸卒さんっていう人も何かあったの?」
気になったことをパンがズバリと聞いてくれた。
「そうじゃな、戸卒は十代の頃にシッディを授かっていた
しかしその後すぐ、第二戦争が始まってしまっての、戸卒は戦争に使われてしもうた……」
悲しそうなジャンヌ様の目。
パンもこれ以上追求することはしなかったが、どんな苦労を背負ったかは容易に想像できた。
この話題はやめるか。
「話を戻そう
戸卒さんは任意の空間にシッディを使える
つまりマヤが安全でいられるってことだ
作戦としては、まず俺が棄糸へ行き、二人がプラーナと会って、プラーナには棄糸まで来てもらう
棄糸で俺がプラーナとの通信手段を手にいれたあと、二人が戸卒さんと接触するまで待つ
接触したのを確認したら俺がマヤを助けるって感じだな」
向こうは恐らく俺が瞬間移動出来ることも知っている。
あまりのんびりしてもいられない。
「分かった!」
「必ず務めを果たすぞ、師匠!」
よし、準備万端だ。
「それじゃ行ってくる」
「またお主にお願いすることになってしまったが……
マヤを助けてやってくれ!空!」
「ああ!」
棄糸の中央ビルの近くへ……。
周囲の景色が溶けていく、その感覚に、俺は再び身を委ねた。