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渡り鳥いつかへる
ドンドン
「空くーん、まだ起きてないのー?」
戸を叩く音と共にパンの声が響き渡る。
疲れが溜まっていたのか長い時間眠ってしまったみたいだ。
とはいえ1月まで冬休み。
これからたっぷり休めるし、気にする必要はないだろ。
とりあえず寝間着から制服に着替えないと。
「すみません!ちょっと待ってください!」
「待てない!入っちゃうからね!」
戸の開く音がする。
そこには下着姿の男とゆるふわな女が見つめ合う光景があった。
といっても勿論ロマンスな展開ではない。
「ちょっ、着替えてるんですよ!?」
「何だ、まだ着替えてたんだ
私は気にしないから早く着替えちゃってよ」
俺は気にするのに、これが年上の余裕か。
パパッと制服のズボンを履き着替えを済ませる。
「お待たせしました、行きましょうか……」
「あっ、ちょっと待って
ガルバちゃんも呼んで良いかな?」
ガルバか、あいつもマヤと友達だしな。
それに三人以上なら道中俺が会話する機会も減るだろう。
「分かった、一緒に行こう」