上司の上田さん
「難しいなー。」
実は王子の説明をちゃんと聞いていたあかり。しかしよくわからなかった。難し過ぎて。
「つまり私にこの国を助けて欲しいってことだよね?なんで私?クリーニング会社に入社したての新人だよ?あ!そういえば会社から出張が近々あるって言ってたなぁ。ん?上位のかみださん?上司の上田さんか!なるほど上田さんの仕業ならありえるわね。積極的に現場に手伝いに来るけど空回り。口を出すけど的外れ。なのに普段は無口で誤解されやすいあの上田さんかー。としたら辻褄があうわね、車にはねられたけど無傷で気を失ってる私。しかし出張の飛行機に間に合わない。説明忘れてドタバタしながら結局なんの説明も無しに飛行機に乗せて目的地に着いてから私が目を覚ましてこの状況。なんとまぁ大雑把過ぎでしょ上田さん。さすがブラックね!」
この状況をあかりは理解した。つまり会社の出張ということで今の状況を把握したのだ。ここは外国、グラントバックというお国。聞いたことはないけどなんとなくヨーロッパのどっかかな?あれ?私パスポート持ってないんだけど?あぁそっか!王さまのアルおじいちゃんがオッケーだからオッケーなのか!じゃあそうと決まればお仕事するかなー。
今後の方向性は決まった。仕事しながらこの国をお掃除して魔王さんを見つけて折檻する。難しそうだけどやりがいありそう!やることが決まったらなんだか楽しくなってきたな!
あかりは黒いリュックサックから仕事道具の染み抜き剤、漂白剤、石鹸、中性洗剤等を並べる。こんなことなら大量に持ってきたかったけど仕方ない。この国で同じか似たような道具を揃えなければならなくなった。そもそもあかりの専門は染み抜きだ。染み抜きとは服に付いたシミ、汚れをピンポイントで取り除くことである。掃除や洗濯はあくまで趣味なのだ。仕事をするということは染み抜きをするということ。何を染み抜きするのかアルおじいちゃんにちゃんと聞かないといけなくなった。
やること揃えること探すこと。何から手をつければいいのか。とりあえずは
「住むところから探すかな。」




