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魔王の装備一式を洗いたい  作者: 篝火ノキア
2/12

初めての入浴

「どうしてこうなった?」

王子は呟く。全裸で。

勇者召喚に成功し、喜ぶのも束の間。何が逆鱗に触れたのか?勇者は王を始め、一般兵全ての鎧、服を脱がし、中庭の池の水をお湯に取り替え入浴?というのを強制でさせられている。お湯に肩まで浸かるのなんて初めてだ。どうやらこの行為は体の汚れや臭いを取るのに効果的らしい。そして何やら気持ちが良い。癖になりそうだ。

「喉が渇いたな、ワインを持て。」

メイドにワインを持ってこらせ湯に浸かりながら飲む。うむ、なかなかの趣向よ。

「王子よ、いいアイデアだなそれは。儂の分も持て。いや、皆も遠慮なく飲むが良い。」


王の計らいで中庭の池が飲み屋と化した。しかしさすが勇者よな。このような宴を用意するとは。奇をてらいながらも趣を感じさせる入浴とやらは非常に気に入った!


王に進言しよう。毎月1度は入浴の日だと。身を清めつつ飲み明かす。これほどの贅沢はなかなかなかったことである!


二時間ほど経ってから勇者が戻ってきた。鎧や服を集めて何をしていたのかも気になるがまずは礼を言わねばなるまい。


王子が勇者に声をかけようと口を開いた瞬間にまたしても怒声が中庭に響き渡った。


「全員!一列に並びなさい!!」


勇者は裸の王を指差し池の湯から出させて立たせる。ん?今気が付いたのだが王に命令?裸で立たせる?極刑ものではないのか?しかし王である父はなにやら笑顔というか何かに期待している子供のよう。ゆ、勇者とはこのようなことをするのが普通なのか?


すると勇者は黒くて固そうな布地の袋から白いレンガのようなものを取りだし、湯に浸けて擦り出した。すると白い泡が溢れだし、それを王の頭にかけ勇者が両手でわっしゃわしゃと掻き出す。いや、もしかして洗ってるのか?


そして白い柔らかそうな布に白い泡を浸し王の全身を擦る。そう、全身だ。余すことなく王を擦った。その間王である父は喜んでいたように見えるが流石に臣下一同固まる。なんだこのシュールな光景は。しかもお湯を頭から大量にぶっかけた??あ、泡を洗い落としたのか。すると王は口を開いた。流石にやり過ぎたか?勇者よ。


「あ、油が落ちてさっぱりとな?このような気持ちは初めてじゃ!」


え?



油が落ちる?なんだその感想は?え?次は私の番のようで勇者が手招きをする。わ、私は王と違って軽い男ではないぞ!初めて会った女性に体を許すような行為は、、、ちょっ、待って!わかった!や、優しくし、



アーッ



洗われてしまった。しかもこのような快感は初めてだ。油が落ちる。なるほどしかり。さっぱりとし清々しい気持ちだ。しかも用意された着替えは簡素だが清潔感ある服だ。うむ、風が気持ち良い。このような気持ちを知ってしまったら毎晩池の湯に入らなければ寝れない体になってしまうな。


勇者はメイド達に今の行為を教え臣下達を洗ってゆく。うむ、勇者は王と王子である私だけを洗ってくれたのか。うむ、大義である。


ん?メイドの一人が私に近づいてきた。すると恐る恐る箒を王子である私に差し出してきた。メイドは震え泣き出しそうである。つ、次はなんだ?勇者であろう?そのようなことをさせる人間は。よいから言ってみよ。


メイドは恐れながら口を開く。


「勇者様が皆がキレイになったら次は城の掃除をするから道具を渡せとのお達しです!」

自己紹介よりも使命よりも世界背景の説明よりもまずは洗濯掃除とやることたくさん。忙しい忙しい。

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