お隣さん
「きたーーーーぁぁぁぁっやっときたーーーー!!!」
城下町の外れ。モンスターが徘徊する外と隔てる壁、城壁は自然と人と建物は少ない。いくら城壁が頑丈で6メートルの高さで滅多にモンスターが侵入してこないとはいえ呻き声は聞こえてくる。それに年に1、2度は侵入してくる事件が起きる。もし、その時その場に居れば自分の身はおろか家族の身も保証出来ない。そんな逃げる時間もないような城壁の部分に住む人間などまともではない。
そんな城壁に面して東西南北に3軒ずつ家が建っている。その目的は城壁を管理及び非常時の対応だった。
作られてから500年以上。もはやその存在意義も忘れられ、頑丈が売りの魔法石で作られた石作りの家も住む人はもう何百年もいない。いないはずだった。
南城壁の面した3軒のうちの左の石作りの家、というより屋敷。見た目は苔が生い茂り、何年も扉を開けた形跡すらない。なのにその屋敷から先ほど奇声が外にまで響き渡った。そう、この屋敷には人はいないと思われていた。
「1000年、待ちに待った。なにか可笑しいなと思い城を覗いて見れば誰も知ってる人はいないうえに誰も俺のことを知らない。知らないということは誰もあの約束のことを守っていないということだったのだ!」
この男は闇魔法で水晶に城下町に掃除をしに来ていた勇者、早坂かしこあかりを写していた。その理由は
「めっちゃ可愛い!黒髪ショートにほっそい足!!流石俺の嫁!!!」
だそうだ。
「闇魔法発動!なに?身長160センチ体重41キロにスリーサイズ上から80、49、82でCカップとか神なの?天使なの?いや勇者なのーーー!」
おまわりさんこいつです!闇魔法で身体測定という名のスキャンかました屑はこいつです。
「だ、男性経験無し。………ひゃっほーーい!!」
下種です。闇魔法で気になるあの子のアレを調べるという愚挙。裁判官!ギルティです。
「はぁはぁはぁ、長いこと生きてるけどこんなに興奮したのは初めてだ!長生きしてみるものだ。待ちすぎて忘れ去られてて約束破られててついつい魔王にうっかり変異し、生きとし生きるものを呪ったら全ての人間が無気力に陥る闇魔法がうっかり発動し、この10年呪いを解く手掛かりを探していたがうっかり10年寝坊してしまった。なぜこんなことになってしまったのだろう?うっかりしてた。」
水晶に写っているあかりに見とれている魔王。気持ちの悪い笑顔で見続けていたが突如何かを思い出したようにハッとし表情が曇る。そう、長らく夢見ていた理想の女性は勇者。自分は最たる宿敵、魔王。1000年ニートだった自分がうっかり魔王という職業に就いたから理想の女性が異世界から召喚されるという悲劇。彼女は自分を討伐する為だけに召喚された存在。あぁ勇者、なぜあなたは勇者なの?
現実逃避に軽く数年逃げ出しそうに なるのを踏み止まり解決策を思案する。
「今すぐ生で見に行きたい、いや会いに行きたい。けど魔王だってバレたら嫌われちゃう。呪いも解けないし。一緒に呪いを解く協力を申し出る?いや闇魔法は術者が死ねば効果は消えると王族の人間なら知ってるはず。だから話しなんか聞かれずに殺されちゃう。いっそのこと会わずに一人で呪いを解く方法を探しだしてから魔王と名乗らずに勇者に近づいて呪いを解いて見せる!するとどうだろう!」
「こんにちはー!」
「はいこんにちは。じゃない!うるさいな、そうじゃなくてキャーステキ!マオウジャナイノニノロイヲトクナンテ!スキ!となると!ぐふっ、ぐふふっ。最高じゃないか!」
最低です。
「10年見つからなかったんだ。すぐに見つからないだろう。なんせ俺は魔王だし。何としても呪いを解く方法を見つける。それまでは絶対に見つかってはいけないな。」
「こんにちはー!誰かいませんかー?」
これからの明るい未来を思案しているときに外で無粋な若い女性の声が。ドンドンと扉を不躾に叩きながらこんにちはー先ほど声が聞こえましたけどーと、しつこく騒ぎ立てる。魔王は非常にイライラし、左手で闇魔法を発動させ右手で扉を開けた瞬間闇魔法を発動させ不躾な客に放とうとする。左手を相手に振りかざし呪文を唱えようとした瞬間、魔王は固まった。頭が真っ白になり扉を開けたことを後悔する。突然の訪問客はそんな魔王に気付かす色々話しかけるが頭の中に入ってこない。かろうじて最後のセリフだけ聞き取れた。それは
「隣に引っ越して来た早坂あかりです!色々知らないことがあると思うので仲良くしてくださいね!」
更新遅れて申し訳ないです。




