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第七話・〖放課後の部室でワチャワチャします〗


高校入学式から部活動見学期間の間に色々な事があった4月前半も終わり、高校生活も慣れ始めたとある放課後。


僕、世道(せいどう) 見理(けんり)は料理研究家部にて部長である梓姉と、幼馴染みであり副部長の南本(みなもと) 利絵(りえ)ちゃんと共に数ヶ月後に開かれる〖沙原学祭〗に出す為の焼き菓子を作っていたんだ。


「ほーう!タルト生地とはその様に作るのか?始めて知ったぞ。ケンよ」


「うん。生地を作っても数時間か一晩寝かせないと駄目なんだよ。梓姉。まぁ、それにタルト生地なんて普通は作らないから知らないのが普通だよね。時間があったら家でも作ってみたら?」


「いや、私は食べる事専門なのでな。作るにしても部活動内だけで私は満足なのだ」


「‥‥‥‥そう?菓子作りも結構楽しいのに‥‥‥」


「目の前でそんなハイレベルな料理技術を見せられたら作る気力も無くなるよね。アズ姉‥‥‥‥」


「うむ!その通りだ‥‥‥」


何故か利絵ちゃんと梓姉が僕の事をジト目で見てくる。何でだろう?


「そんな事よりもその美味しそうなタルトは何時出来上がるんですか?私、早く食べてみたいのですが」


「‥‥‥‥‥‥へ?何で有栖川さんが此処に?」


「真理ちゃんどうしたの?迷子かな?お家まで帰れる?」


「だ、誰が迷子ですか?!南本さん!」


「もう!リエって!呼んでって、ずっと言っているでしょう~?やっぱり迷子で部室に迷い込んじゃったのかな?この天然美術娘さんは?」


「誰が天然美術娘ですかっ!この巨乳文学娘さん!」


「いや~、そんな褒められても困るよ。真理ちゃん~」


「誰も褒めていません!強めに言い返しているだけですわ!」


絵利ちゃんと有栖川さんは小学生の喧嘩みたいな言い合いを始めた。


「やれやれ、あの二人は相変わらずの関係だな。ド天然と鋭いツッコミは最早、コントを見ている様だな。ケンよ」


「コントって‥‥‥‥まぁ、確かに息ぴったりのコンビに見えてきたかな‥‥‥‥」


僕はそう言うと梓姉と共に彼女達のやり取りを眺めていた。


「ですから何なのですか?このっ!無駄にっ!育ったっ!お胸はっ!」


ペチペチ!ペチペチ!


「や、止めてぇ!!私のオッパイをペチペチしないでぇ!真理ちゃーん!」


「この胸ですか?この胸でどれだけの殿方を誘惑したのです?言ってみなさい!リーエ!!」


「あっ!中学の時の呼び方に呼んでくれたの?嬉しい~!嬉しいけど‥‥‥私のオッパイをペチペチするのを止めてえぇぇ!!」


ペチペチ!ペチペチ!


「ハハハ!絶景かな」


‥‥‥‥‥リエちゃんの豊満なあれは揺れていた。揺れていたけど、僕にとってはあの揺れは見慣れた光景だったので特に何も感じなかった。


そして、梓姉はその光景に大爆笑していた。


◇◇◇◇◇


「は?有栖川さんも料理研究部に入部させる?」


「うむ!彼女も料理が上手になりたいと私に直接言ってきたのでな。そんな熱意ある者の願いを拒むなどあってはならない事だと思わないか?」


梓姉はそう言うと紅茶を優雅に飲む。


「‥‥‥所でアズ姉。その高級そうな紅茶は何処で手に入れたのかな?ていうか、その紅茶って‥‥‥‥もしかして真理ちゃんから貰った賄賂?」


「‥‥‥‥‥‥違う。これは有栖川から寄付された物だ。賄賂ではない」


「そうです!賄賂なんて人聞きの悪い。これは私がイギリスから取り寄せた最高級の紅茶の茶葉!寄付ですわ!」


「ゴフッ!有栖川!!何、バラしているのだ。貴様がリエに入部を邪魔されるから、助けて下さい!これあげますから~!などと言ってきたから入部させたのに何、真実を教えておるんだ!」


「フヘェェ!!い、痛いです!梓お姉様!!な、何で(わたふし)の頬を引っはるのですかぁー!」



‥‥‥‥有栖川さんが勝手に自白して、梓姉が勝手に喋ってくれた。


しかし、何で入部するのに賄賂?‥‥‥‥何で利絵ちゃんが有栖川さんの入部を邪魔するんだろう?


「うぐぐっ!!ま、真理ちゃんが見理君と同じ料理研究部に入っちゃたぁ!!どうしよう!!私の幼馴染みが取られちゃうよぉ!!!」


絵利ちゃんは利絵ちゃんで部室の窓際で何かを叫んでいた。


‥‥‥‥‥‥。


「とういう分けでこれから、よろしくお願いいたします!正道君。リーエ」


「うん!よろしくね。有栖川さん」


「異議あり!駄目です!マリちゃんには不純な動議が見え隠れします!とういう分けで私は異議申し立てを‥‥‥‥」


「黙れていろ!利絵。何時もの暴走もそこまでにしておけ。高校の部活入部に異議申し立てもあるものか‥‥‥‥ケン!利絵が落ち着くまで、この(ひも)で椅子に固定して、口にガムテープでも貼って静かにさせておけ」


「了解しました。梓姉」


「へ?や。止めなさい。見理君!大切な幼馴染みの私と女帝である梓姉、どっちが大切なの?」


「えーっと、僕の命が一番大切かな?この場合は‥‥‥‥死にたくないしね」


「こ、この白状者!!!フガゴォ?」


僕は利絵ちゃんの口にガムテープを貼って静かにさせた。


「フフン!素敵な姿になりましたね。リーエ、では、改めて‥‥‥今日から入部致します。有栖川・フローレンス・真理です。よろしくお願いいたします」



こうして僕達が所属する料理研究部に新たな部員が加わったのでした。


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