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第二十話・〖これからも私と〗


 私の名前は南本(みなもと) 利絵(りえ)


 見理君の事がかなり気になる女の子。


 今日は朝から見理君を追いかけてバタバタしたけど、何とか合流して千代ちゃんと棗君を含んだ四人でショッピングモール内を遊び歩いた。


 今回はそのショッピングモールから帰る途中の話。


 〖沙原町西区~!沙原町西区に到着しました~、降りる際には完全にバスがお止まりになってからお降り下さい~〗


 バス運転手さんのアナウンスがバスの中に響く。


「じゃあ、私達は此処で降りるから、ほら棗兄も起きた!起きた!はしゃぎ過ぎよ。これから舞踊の稽古もあるのに、ほら、降りるよ!」


「ゴガァ?!何?もう着いたのか?時間は‥‥‥ま、不味い、稽古に遅れたらお婆様に摂関(せっかん)されてしまう。ではな!正道!南本!また二日後、学校でな。去らば!」


「あっ!待て!棗兄!妹の私を置いてくな!!じゃあね!二人共!写真はちゃんと消したから、許しなさいよ。バイバイ」


「うん。バイバイ~!二人共」


「稽古頑張ってね~、千代ちゃん、棗君~」


プシュ~!


〖出発致します。次は沙原町役所前~、沙原町役所前に止まります~〗


 再びバス運転手さんのアナウンスの後、バスが出発する。


「ねぇ、見理君」


「何?利絵ちゃん」


「この動画どうしようか?その場の勢いで撮った兄妹喧嘩なんだけど」


 わたしはそう言って、千葉物産展フェアでの千表兄妹の闘いの動画を見理君に見せた。


「‥‥‥‥あの時、こんなの取ってたの?利絵ちゃん。少しドン引きなんだけど。ちゃんと消しときなよ。あの二人に黙って撮影するなんて犯罪行為だからね」


「な、何でドンびくのよ?!は、犯罪行為?!わ、分かった、直ぐに消すからそんな目で私を見つめないで、キライにならないでよ!見理君!」


 ピッ!私は動画を消した。そして、見理君にスマホを見せて確認してもおうと、更に近付いた。


「め、目が怖いんだけど!利絵ちゃん。だ、大丈夫、利絵ちゃんが少し変わってるのは昔から慣れてるから、あんまり顔を近付けられると恥ずかしいんだけど」


「何か気になる事を言われた気がするけど‥‥‥それより何?見理君。私に密着されると恥ずかしいの?ドキドキするの?嬉しい?ねぇ?嬉しいのかな?」


 バス内には私と見理君の二人っきり。運転手さんは運転に集中していて、こっちを全体に見れない。これは次のバス停までに見理君とイチャつく最大のチャンスよ。怒られていてピンチだったけど、それをチャンスに帰る女の子。それが私、南本(みなもと) 利絵(りえ)なんだから。


「‥‥‥‥そうだね。僕は利絵ちゃんに密着されるとドキドキするし、嬉しくなるね」


「そうでしょ。そうでしょ。私に密着されると嬉しくなる‥‥‥‥へ?」


「今だけじゃない、利絵ちゃんと過ごす日々は楽しくてドキドキする様な事ばかり起きるね。全く楽しい日々だよ」


「そ、そうなの?私も見理君と一緒に入ると楽しいよ」


 私は顔を赤面させながら、見理君から顔を反らした。


「ハハハ。バッと離れたね。利絵ちゃん‥‥‥そろそろ家の近くだ。降りる準備をしようか」


「う、うん!そ、そうだね。見理君‥‥‥あのね!」


「ん?何かな?!利絵ちゃん」


「きょ、今日は色々とごめんなさい。見理君の部屋に勝手に入ろうとしたり、粘着ストーカーしたり、勝手に動画撮ったりモラルがない事ばかりしちゃって、見理君に迷惑かけてごめんなさい」


「あぁ、その事?そんなの僕にとっては日常的な事だからね。利絵ちゃんが暴走してやらかす事なんてさぁ」


「‥‥‥‥何それ?見理君の中の私って、もしかしてヤバイ女認定なの?」


「そうだね。かなりヤバイい女の子だけど‥‥‥‥」


 何それ?私ってヤバイ女なの?嘘‥‥‥‥


「僕にとっては理想的な幼馴染みで‥‥‥好きな‥‥(ボソッ)‥‥‥だね‥‥‥あっ家の近くのバス停に着いたね。降りようか、利絵ちゃん。ほら、手をどうぞ」


「う、うん!ありがとう。見理君‥‥‥‥幼馴染みでの後、何を言ってくれたのかな?私、凄く気になるんだぁ~」


「ん~‥‥‥今は秘密だね。もう少し時間が経ったら教えてあげるよ‥‥‥うん。その時はちゃんと伝える」


「‥‥‥‥そう。何だ、分かった。その時を楽しみして待ってるね。フフフ」


 バスが停車する。


 そして、私はいつもバスを降りる時は転ばない様に見理君に右手を握ってもらって共に下車をする。


 小さい頃からの変わらないありふれた日常。


 私と彼のかけがえのない思い出に今日が追加されていく。


 ‥‥‥‥いつかは幼馴染みから、本物の恋人になりたい‥‥‥そんな想いを馳せながら、私は見理君に手を握られながらバスを降り、二人で仲良く家へ帰って一緒に御飯を食べた。


 こんな見理君と私のありふれた日常が、私にとってのかけがえのないもの。彼との日々が永遠に続くと私は信じている。

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