第十五話・〖ようこそ生徒会へ〗
「‥‥‥‥ん?此処は‥‥‥‥何処?‥‥‥‥」
頭がボーッとする中、僕は辺りを見渡した。大勢の人に見られている?それに座らされて手は縛られているんだけど?!
ガバッ!
「あっ!見理君。気がついた?大丈夫?乱暴されたり、怪我とかしてない?」
「‥‥‥は?利絵ちゃんが何で?しかも抱き付いて」
「綺羅々(きらら)ちゃんが担いで此処まで運んだんだよ。酷いよね。嫌がっているのに無理矢理、生徒会まで連れてくるなんて」
「何を言ってる。南本。生徒会に放課後呼ばれているのに、隠れるコイツが悪いんでしょうが‥‥‥まぁ、気絶させてたのはやり過ぎたと思ってるけど」
「うん。普通に犯罪行為だから今後は控えるようにね。綺羅々」
「了ー解」
‥‥‥‥綺羅々(きらら)先輩に中央の教卓に立っているのは西園寺先輩?とういう事は此処は生徒会室?!
「‥‥‥‥そうか。僕は捕まって、綺羅々(きらら)先輩に生徒会室まで拉致されたんだね」
「うん。酷いよね。綺羅々ちゃんも西園寺先輩」
「‥‥‥おい。〖見理君が生徒会に入るなら私も入れて下さい。何なら私も候補生になって見理君をサポートしてあげますから。え?見理君が居ない?私も一緒に探します!!未来の奥さ‥‥‥じゃなくて副会長になるこの私がっ!!〗とか頼んでもないのに生徒会の候補生に勝手になった奴が何を言っている」
「‥‥‥‥もう忘れました。そんな台詞」
「は?利‥‥‥南本さんが生徒会の候補生?」
「うん。そうだよ。見理君。私も今年の候補生の一人に選ばれ‥‥‥‥」
「選んでないけど、勝手に朝霧先生経由で申請していたんだよ。ねえ?南本さん。〖見理君が生徒会をやるなら私も手伝いたいです!!〗てっ言ったんだってね?職員室で話題になっていたよ」
西園寺先輩がニコニコ笑顔で利絵ちゃんを見ている。
「‥‥‥‥もう忘れました。そんなセリフ」
「まぁ、これで候補生は揃ったし‥‥‥」
「はい?揃った?‥‥‥もしかして棗まで捕まったんですか?」
「ん?あぁ、今、来るよ‥‥‥ほら」
ガラガラガラガラ!!!
「クソッ!!離してくれ!!!千代!!!何故、こんな事をする?」
「黙りな!!棗兄。棗兄が逃げ隠れしたせいで、私も候補生の一人になっちゃたんだから。責任とりな」
「‥‥‥棗に双子の妹の千代ちゃん」
「ん?あぁ、見理君。久しぶりだねー、元気してた?」
「う、うん。久しぶり‥‥‥それとその縛りあげられてる棗はどうしたの?」
「あぁ、これ?学校中を逃げ回っていたからテイムしたのよ。これで来年度の剣道部の部費も上がる上がる。ニヒヒ!!」
黒髪ショートヘアーの綺麗な顔立ちをした女の子が嬉しそうに笑っている。‥‥‥これが棗と双子の兄妹とは誰も思わないんだろうな。ていうか双子なのに全然似てない。
「棗君と千代ちゃんも候補生になったんだ。ビックリだねー、見理君」
「‥‥‥‥南本さん。僕の膝に頭を乗っけないでくれるかな?皆に誤解されちゃうからね。ていうか、椅子なら隣にあるんだからそっちに座って」
「見理君は恥ずかしがりやなんだねー、可愛い」
「‥‥‥いや。普通に嫌がってるでしょうが。相変わらずね。利絵は‥‥‥」
「マイペースで良いではないか。それよりもこの縄をほどけ。千代!!!」
「何だか賑やかになってきたけど。時間も押しているから最後の議題を始めるよ」
西園寺先輩が騒がしい僕達を無視して司会を始めた。
「今年の生徒会候補生は十名だ。だけどこれでは多いからね。この中で二人一組のグループを作ってもらう事にしたんだ。それでそのグループで今年度の学校行事の仕事を任せて、一番目~三番目に優秀なグループの子達を来年の正式な生徒会のメンバーに選出する様に先月の職員会議で決まったんだよね」
「ほう、成る程。今、此処に集められた一学年の中でも勉学、身体、カリスマ、影響力、文芸、等に秀でた者達で一年間争わせると?」
あれは‥‥‥‥隣のクラスの比山君?確か‥‥‥‥中学時代は隣の中学の陸上部のエースだったんだっけ?
「うーん。争わせるとは違うかな。生徒会も年々、忙しくてね。三年後の大学受験で推薦枠を取れる子達を生徒会に加入させて、生徒会業務に専念してもらいたいんだよね。勿論、沙原高校程の進学校の生徒会に入っていたと言うだけで、卒業後も色々な所に顔が利くようになるし、悪い話ではないんだよ」
「生徒会の仕事なんてしていたら時間が取られるだろう。俺は部活を優先したい」
「んー?君がそうしたいなら良いよ。ぶっちゃけ生徒会の仕事なんて本気を出した私達が片付けられるしね‥‥‥それに入学したばかりの一年生達に無理な仕事は押し付けるつもりは考えていないしね」
嘘をつかないでほしい。昼休みバリバリ押し付ける気満々だったじゃないですか。
「まぁ、極一部の生徒には期待して押し付けるかもしれないけどね」ニヤリ
‥‥‥‥こっちを見てニヤニヤしないで頂きたい。西園寺先輩!!
「まぁ、順位とか忙しいとか言ったけどね。今日、生徒会に集められた候補生の子達には色々と学んで欲しいんだよ。色々とね」
「学んで欲しい?なんですの?それ」
「‥‥‥有栖川さんも居たんだ」
「水君達も居るよ。ほれ」
利絵ちゃんがそう言って教室の端の方を指差した。
「‥‥マジかい」
「マジだね。ニヒヒヒヒ!!強敵だらけで何か燃えるね。見理君、シュッ!シュッ!シュッ!」
利絵ちゃんはそう言うと拳を作りシャドーボクシングをやり始めた。何でこの娘やる気になってんの?
「学校側や私達。先輩達はね。君達に期待して成長してほしいんだよ。だから基礎的には自分達の部活や用事を優先してくれて良い。力仕事や書類何かは男達やパソコン部の子達を誘わ‥‥‥お願いすれば何でもやってくれるからね」
‥‥‥今、あの人。誘惑とか言いそうになってなかった?
キーンコーンカーンコーン!!
「おっと。放課後終了の合図だね。それじゃあ今日は解散して良いよ‥‥‥‥それと正道君にはこれをプレゼントしてあげよう」
西園寺先輩がそう告げると生徒会に集められた人達は解散し、僕はその場に残された。
▽▽▽▽▽
「‥‥‥‥な、なんですか?この滅茶苦茶な資料は?」
「今の生徒会にパソコンができる子が居なくてな」
「「「「ウンウン」」」」
「まさか僕を必要に勧誘してたのって‥‥‥‥」
「そう!正道君。君、中学時代からパソコン得意だったろう?だから君には資料の作成と管理を‥‥‥‥」
と西園寺先輩が説明している間にごちゃごちゃになっていた生徒会の資料をAIの自動ツールを使って、直ぐに纏め終える事に成功した。
「‥‥‥これで良し。終わったんで帰りますね。西園寺先輩」
「は?終わった?何て?はっ?もう?何で?」
「今時はAIツールが自動でやってくれますよ。パソコンの機能はちゃんと把握しといて下さいって。中学時代も言いましたよね」
「‥‥‥‥いや。言ったけど早ぎないかな?」
「パソコンは最新鋭でしたからね。それじゃあ、今日は帰ります。行こうか。利‥‥‥南本さん」
「はーい。見理君。帰りスーパー寄って夕飯買って行こー」
「‥‥‥それをこんな場所で言わないでよ。南本さん。勘違いされるからさ」
「えー、良いじゃん。幼馴染みなんだしっ!」
「‥‥‥やっぱり高スペック過ぎるね」
「ん?パソコンがか?」
「正道君だよ‥‥‥まさかこの仕事量を直ぐに終わらせるなんてね」
「それは私達がパソコン音痴なだけだっただろう?」
「五月蝿いよ。綺羅々‥‥‥‥良いね。彼、やっぱり欲しい人材の一人だよ。正道先輩の弟君はね。フフフ。他にも今年度の一年生は面白い子達が沢山いる。今年も楽しい学校生活になりそうですよ。先輩」




