第四章 青年期解決編 ⑮
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「そろそろ二十四時間がたつ頃ね。」
連絡を受け苛立つ刑事を見て、自然と頬がほころんだ。
「あと一日で私はともかく先生は釈放なのだと思うけど、捜査は順調に進んでいるかしら。」
刑事の表情を見れば順調ではないことは分かっていた。
「君のお父さんが面会を希望している。弁護士も立ち会いたいそうだ。」
「必要ないわ。」
「弁護士もか。」
「えぇ、接見交通権は防御のための権利。私は罪を認め、反省しているの。だから、不要だわ。」
実際、お父さんには会いたくない。私を心配しているのではなく、私の対策をしに来たのだ。それに、娘が逮捕となれば、さすがにお父さんでも今の地位を維持するのは難しいでしょう。期せずして、小さな復讐の機会が得られた。
「それで、先生の頭は大丈夫だったの。」
「あぁ、異常ないそうだ。」
「そう、良かったわ。そのことがずっと気がかりだったの。あんな風に殴ってしまったから、心配で。」
内心は一安心。
「それでは、取調べの続けを始めましょ。」
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_同署廊下
「それで佐藤俊夫が監禁していた証拠は上げられそうですか。」
碓井刑事は頭を振った。
「なにせ、六年も前の出来事だ。記録もないし、関係者の記憶もあいまいだ。それに、当の本人があれじゃあなー。」
「確かに、仮にDVから救ってくれたという認識でも、やはりかばっているようにしか思えません。六年も姿を見せないでいて、ずっと同棲していただなんて信じられませんよ。」
碓井刑事は壁にもたれながらため息をついた。
「あぁ、俺も同感だ。でも、そのことを知っているのは佐藤俊夫と沖田ネルの二人のみ。その二人がああ言っている限りは推定無罪に則るしかない。」
また、大きなため息をついた。




