表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘拐から  作者: 高束奏多
6/72

第一章 少年期事件編 ⑥

***


座った椅子は落ち着かない。

どうでもいいニュースも落ち着かない。

椅子の向かいにはテーブルではなく、椅子がもう一対という不自然な部屋の中で。

チャンネルを次々と切り替えては違和感を抱いた。

(おかしい)

なぜ、ニュースに、事件になっていないのだろうか。

夏にはまだ早いというのに、首筋をいやな汗が流れる。

今になって_、ではないが、誘拐して以来ずっと後悔している。

なぜ、こんなことをしてしまったのか自分でも全く分からない。

そして、またチャンネルを切り替える。もう何度目だろうか。

正直、家柄だけに大ニュースになっていると思っていた。そして、それを見てひどく焦るのだろうと。

しかし、ニュースになっていないというのは、これはこれで焦る。焦るというよりは奇妙さの方が上回っている。

意外と放任家庭で、捜索届の類を出していないのだろうか。あるいは、捜索届は出したが、一日やそこらでは事件として扱われないのだろうか。なんとなく、後者の方な気がするが、

ガチャッ

背後から聞きなれた音がした。一人暮らしのはずなのに、誰かが部屋にいるというのは戦慄ものだ。だが、その正体は一人しかいない。

ロープを解かれたのだということを悟った。

どうする。

覆面を被る時間はない。

見られたらおしまいだ。

朝一から、ニュースをかぶりつくように見続けていて、焦り続けていて、まともに思考できるはずなどなかった。

とりあえず、することは一つしかない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ