表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘拐から  作者: 高束奏多
50/72

第三章 青年期事件編 ⑬

終わったのは九時を少し過ぎたころ。空になったダンボールを見ると、思いのほか達成感が得られた。

それと同時に虚無感に襲われる。僕の人生この仕事で一生を終えるのかな。そう言ってしまうと内職を生業としている人には申し訳ないけど、小学校の先生と比べると人には自慢できない。もう自慢する機会自体ないかもしれないけど。

「お疲れ様」

部屋に入ってくると暖かいコーヒーを置いてくれた。まるで優しい上司のように。自然な動作だった。

「沖田さんも、お疲れ。ずっとやっていたの。」

「そんなわけないでしょ。」

「えっ」

「朝とお昼の五時間で今日のノルマは終わったわ。」

「さいですか。」


ご飯時。

 話しかけるのはいつも沖田さんから。

「質問、いいかしら。」

 「あぁ」

「先生ってどんな人がタイプなの」

藪から棒に。

「そんな話をしてどうする。」

「ちょっと興味を持っただけ。」

「別に言う必要はないだろ。」

「うん必要ない。もう一生恋愛とかできないんだね。かわいそうに。」

その原因を作った張本人が、というセリフは毎度自分に返ってくるので言えない。質問に意味なんてなく、ただ、からかいたいだけだ。

それからのは生活は、特に変化もないまま日々が過ぎて行った。ただ、たんたんと作業をこなすだけ。なんとなくの勤務体制のようなものができた。僕は日曜だけ休み。沖田さんは土日共に休み、その代り家事は全部やる。僕は手錠のせいでできないから納得するしかない。人によってはこの状態を平和と呼ぶかもしれない。でも、僕にとっては決してそんなことはなく、胸が騒ぎ、気の休まらない日々。

毎日ひたすらに作業をした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ