第二章 少年期解決編 ⑱
***
6月16日(金)
朝のニュースは、どこのチャンネルも沖田さんの誘拐で持ちきりだった。おまけに、犯人が同校の宇都宮先生ということまで報道していた。このニュースを見たくて、必死でチャンネルを回した先週の土曜日の朝が遠い昔のようだ。
当事者の沖田さんは食い入るようにテレビを見ていた。
小学校も映っていた。マスコミに待ち伏せされているのかと思うと、出勤に嫌気がさした。
朝ご飯もほどほどに家を出た。もう少し、ニュースを見ていたかったが、早く出勤するよう言われているので、そうはいかない。
沖田さんはテレビにご執心。
車中のカーナビでニュースを聞いているが、目立って新しい情報はなかった。
校門はすでにマスコミでごったがえしていた。さっき、テレビで見た時よりも増えている。
テレビとは違い、実際にこの目で見ることで、渦中にいるということが現実味を帯びてくる。
使命感からか職務命令かは分からない。いずれにしろこの中には、不幸を喜んでいる人が一定数いる。事件の元凶が何を思おうと皮肉にすらならないが。
普段よりも多い守衛が、マスコミの群れを押し分け、門を開けてくれた。
想像していた通り職員室の電話は鳴りっぱなし。
それからは気も休まらない怒涛の日々。
校長先生と教頭先生はもっとそうだったろう。立場が違い、責任が違う。
明日は二人が記者会見に立つ。僕はかろうじてその席に座ることを免れた。
昼の情報番組を経て、夕方の報道番組。内容はどんどん熾烈になっていく。コメンテーターも市民の声も言いたい放題。
社会の注目はどんどん募り、大事件と言って差し支えないレベルになっている。
翌日六月二十一日の記者会見はひどいものだった。想像していた通りの非難の嵐で、針の筵もいいところだった。スケープゴートになってくれた二人には感謝しなくてはならない。
夕方のニュースはその記者会見の映像ばかり流れていた。今日もこの事件についてばかり。学校には常にマスコミがべったり。
_正直、公開捜査になれば、すぐに情報が集まってきて、すぐに逮捕されるのだと思っていた。その覚悟もできていた。
しかし、激化した報道も数日のことで、一週間もしたら、テレビでもあまり見なくなったし、警察が来る頻度もどんどん減っていった。




