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誘拐から  作者: 高束奏多
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第二章 少年期解決編 ⑰

 ***


 あれ以来、警察は学校に姿を現さなくなった。あの二日間が嘘のように平穏な日々が続いた。表向きは何事もなかったかのように、授業が行われた。

 自習が増え、授業が不規則になった月曜日以降、生徒にもいろいろ聞かれた。自習については学校の修繕にあたっての打ち合わせということで意思の疎通が取れていたし、沖田さんの欠席については入院ということで説明をした。お見舞いに行くという声が上がらなかったのはいいことなのか、悪いことなのか判断しかねるけど、そのことについて以後聞かれることはなかった。

 木曜日の授業は五限まで。三時十分に終わり、そこから終わりの会をして、三時半には生徒を帰した。

 当然、そこで先生が帰れるわけはなく、そこから今後授業で使う用意やらをしなくてはいけない。最近はそれが滞っていたというのもあり、やることが多い。

 この二日間で少しずつではあるが職員室の雰囲気は元に戻りつつある。もちろん、戻りつつであって、まだまだ会話量などは以前の一割ほどだ。それでも、あの火曜日ほどの沈鬱な空気はなく、前に進もうとしていた。業務連絡から事件についての会話、近況報告、少しずつ新しくなろうとしていた_のも束の間だった。

 廊下を掛ける足音に軽やかなリズム感はない。ドタバタとぎことない感じの激しい足音が来た。

 ドアが開かれると、血相を変えた校長先生が立っていた。

 息を整えること数秒_

 まだ戻らぬ呼吸のまま、息も絶え絶えに、

 「警察が来た。沖田ネルの事件が公開捜査になる。明日から報道され、マスコミも学校に押し寄せるだろうって。それについて会議を始める。」

 職員室の空気は一変した。

 ある意味、元に戻ってしまっただけともいえる。

 明日以降の保護者の連絡への対応。

 どこまで話してよいのかわからない。とりあえずは当校の生徒が事件に巻き込まれたのは事実であること、ニュースを見てほしい、詳細はそれから追ってということが会議で決められた。

 会議は夜遅くまでかかった。

 帰ったのは十一時ごろ。そして、明日は早くに出勤しなければならない。各方面への対応、激務が予想される。

 心身ともにこれだけ疲弊しているにもかかわらず、沖田さんへの報告は欠かさないのだから不思議なものだ。

 十二時には眠りについた。



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