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誘拐から  作者: 高束奏多
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第二章 少年期解決編 ⑬

_職員室。

じめっとした空気は相変わらず。

まだ、数としては十分の一も終わっていない。今日だけでは終わらないだろう。

 何をするでもない。誰かが話すわけでもない。

 十一時を指したのち、チャイムが鳴った。

 中休みだ。

 三限からは聴取が終わった先生、まだ先の先生を中心にそれぞれ、他クラスの自習を補いながら、授業を受け持つ。こんな心情の中でいったい何人の先生がまともな授業をできるのだろう。

 梅雨本番。

灰色の空からは雨が降り出していた。

 僕の心とでどこか一体感が生まれそうな空気。

 限りなく続く灰色の塊はどこまでも続いている。その境界には何色の雲が待っているのだろう。

 

 結局解放されたのは八時近く。

一応全員が終わった。明日まで持越し、この空気をまた吸うということにはならなかった。

 あれからの九時間職員室では、何の変化もなかった。

 ローテーションが終わった後、すぐ解散となったので、捜査に進展があったのかどうかはわからない。あったとしても、今後のことについては機密であり、そこまで話してはくれないだろう。

 雨は止んでいたが、すっかり暗くなっている。

 車を出し、スーパーへ向かう。今までは帰り道にあるコンビニで晩ご飯を買っていたのだが、沖田さんに高いと注意された。お金持ちなのに意外と所帯じみている。それ以来、といってもここ一週間ほど、スーパーで買うようにしている。帰り道からは少し外れるが、車ならそれほどかからない。車のガソリン代のことを思うと、コンビニの方が安く済む気もするが、別に気にするほどのことでもない。それで沖田さんが満足するなら安いものだ。

 この時間は弁当が安くなっていることが多い。二十パーセント引きのシールのついたとんかつ弁当をかごに入れる。もう一つ同じ値段のから揚げ弁当を取ったとところで、ふと後ろが気になった。

 特に知った顔はない。普通のサラリーマンばかりに見える。さすがに顔見知りの刑事をつけることはないだろう。誘拐して以来、視線に敏感になってしまった。

 かごには弁当が二つ。よく吟味したふりをして、とんかつ弁当は棚に返した。

 杞憂ならいいのだが。

 野菜ジュース、明日の朝食をかごに入れ、袋麺のコーナーに向かう。手に取ったのはとんこつ味、味はどうでもいい。この際胃に入れば何でもいい。米はまだまだあったはず。しばらくは弁当を二食買うのは危険だ。

 曲がり角のタイミングや品を見るふりをして、周りを伺った。さっきのは気のせいだったらしい。それでも、警戒するに越したことはない。

レジで会計を済ませると、すぐに家へ帰った。


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