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腐敗JK ─ ゾンビだらけの世界で女子高生は無双する ─  作者: 徳田タクト卍
ゾンビだらけになる前の、JKの平和な日常
6/14

嘔吐と失禁



「はぁ……はぁ……んぐっ」


 カタカタと震える全身。重くて動かない足。

 目の前の凄惨な光景に戦慄し、体が言うことをきかない。


 はやく……早く、ここを離れなきゃ!私もこの人みたいに─────


 クッチャクッチャと、顔色の悪い2人の人間が血に塗れながら、美味しそうに女の人を食べていた。2人が食べ進めていくうちに、普段は見えない人間の内部…臓器や骨が露になっていく。


 早く、動け……ウゴケウゴケウゴケウゴケウゴケウゴケ!!!


 私は動かない自身の足にそう言い、そして。


「っ!」


 ローファーで地面を思いきり蹴り、私はその場から全力疾走で離れた。


◼◼◼


 あの凄惨な現場から全力で離れ、私は知らないアパートの影に隠れた。


「うっ!……ぷっ……」


 げほげほっ、と口からは胃の内容物を吐き出し、下からは温かい液体を失禁する。

 恐怖で、体内のものを垂れ流す。まだ、全身の震えが止まらない。


「う……ぐ……吐いてる場合じゃない、救急車……いや、こういう時は警察……?」


 カタカタと体を震わせながら、スクールバッグからスマホを取り出そうとする。けど、体が震えて言うことが聞かず。何度もスマホを地面に落とす。警察に電話する時も、指先がひどく震えて何度も数字を押し間違えた。



 トゥルルルル……トゥルルルル……



 震えながら、なんとか警察に電話した、けど。


「……何で?何で電話取らないのよ!」


 ずっとコールさせるが、電話を取らない。番号を間違えたのかと思い、もう一度110番を押す。けど……



 トゥルルルル……トゥルルルル……



「おかしい……今度はしっかり番号を確認したのに。何で……何で誰も取らないのよ!!」


 コール音が耳許でいつまでも響く。不安と焦りで怒りが込み上げてくる。


「お願い……誰か出てよっ!」


 ぎゅっとスマホを握り、電話を取ってくれることを強く祈っていた。

 その時。



 ──────カサッ……



 正面の方から、草を踏むような音がしたのと同時に、影がかかった。私は恐る恐る……顔を上げた。そこには──


「ア~……」


 右腕が千切れた、知らないおばさんがゆらゆらとしていた。そして。


「アァアアアア!!!」


 おばさんは私に襲いかかってきた。


「いやああ!」


 私はおばさんの肩を掴み、抵抗する。おばさんはパクパクと口を動かし、今にも私に噛みつきそうにした。

 おばさんの口の周りと手に、大量の血がついていた。このおばさんも、さっきの2人と同じように誰かを────……


「やだぁっ!!」


 私はなんとかおばさんを体から引き離し、そのアパートから離れた。


「もう、何なの?一体何が起こってるの?あれ……たぶん、ゾンビだよね?あれはゲームだけのものでしょ?何であんなのが?私は夢でも見てるの?夢なら……早く覚めてよ」


 住宅街を駆けながら、ひとりごちていると。



 ~♪



 私のスマホが鳴った。


「!もしかして警察が……!?」


 警察が掛け直したのかと思い、慌てて電話を取ると。


『……友加里ゆかり?』


 電話の向こうから聞こえてきたのは、ボソボソと小声で話すお母さんからだった─────





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