死生問。
「ねぇ、生きているのと死んでしまう事の違いってなんだと思う?」
学校が終わりみんな帰るなり部活なりで僕ら以外誰もいない放課後の教室で、日誌を書いていた。
正確には、もう1人の日直の女の子が日誌を書いてて、僕はそれを携帯を弄りながら待っている状況だ。
「いきなりどうしたの?」
「いやさぁ、……」
彼女からのいきなりの問いにも驚いたが、内容の重さに驚いた。
「生と死の捉え方ってみんな違うから気になってね。」
「ふぅん。」
僕にとってはあまり納得のいかない答えだったが一応相槌は打っておいた。
「まぁ一般的に死ぬってのは、心臓が動くのをやめるとか、細胞が分裂するのをやめるとか…じゃない?」
「じゃあ君的には?」
彼女はシャーペンをにぎりしめたまま、興味津々に聞いてくる。
早く日誌書いて帰ろうよ。
「んー、僕的には……生きる理由を見つけられなくなったら死なんじゃない?」
「ほうほう。じゃあ君が今生きてる理由は何?」
「それを探すために、僕は今は生きてるんじゃないかな。」
なるほどねー。と言いながら彼女は腕を組み自分の顎触りながら何かを考えてる様子。
「わたしはね、」
唐突に彼女が話始めた。
「死とは生きることそのものだと思うよ。」
「と言うと?」
「私たち人間は、いずれは死んでしまう。それはわかるでしょ?」
「そりゃね。わかるさ。」
「私たちは死ぬために生きているのだと思うのよ。」
彼女の話が難しいのか、僕の理解に及ばない。
「すまないが、もう少しわかりやすく。」
彼女はんー、と唸りながら考える。
「まぁつまりだよ。私が言いたいのは生と死に違うところはないってことさ。」
「そりゃまた素っ頓狂なこと。」
「生きるも死ぬも私自身は変わらない。周りが変わるだけさ。だから私にとっては死も生も変わらないってことだよ。」
彼女はいそいそと日誌を書き進め始めた。
割と進んでいたのかまう終わりそうである。
「ねぇ、今度は精神の死について語ろうか。」
今日は彼女の少し変わったところを知った。
「まぁ暇だったらね。」