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格差。
昔昔。私には好きな人がいた。
容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能……
彼に出会わせてくれたことを神に感謝したのも、神様は不平等だと呪うきっかけを作ったのも彼だ。
彼は、彼と正反対の私にも優しくしてくれた。
容姿も勉強もスポーツもできない私に、親よりも優しくしてくれたのだった。
初めは憧れだった。
しかし恋だとわかるまでそう時間はかからなかった。
そして彼と同じように、全て揃った幼馴染の女の子がいた。
彼女の必死の励ましにより、私は告白することを決意した。
「あのっ、私っ、……君のことが、…すき、です。」
夕日の射す教室で告白した。
生まれて初めて体験した。
あの心臓が飛び出るような緊張を。
夕日の逆光で、はっきりとは見えなかったが
彼は困った顔をしてたと思う。
そして眉尻を下げ、苦笑いしながらこう言った。
「君の幼馴染の方がタイプかな。」
夕日のせいか知らないが、少し頬を赤くして続けざまにこう言った。
「彼女の連絡先、教えてよ。」