表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンサンブル  作者: 夕顔
1/5

I

5月の爽やかな風が吹く頃、突然彼女はやって来た。

碧い瞳は凛とした強さを感じさせる海のような色。美しく豊かな金髪。透き通るように白く美しい肌は、どこか異国の姫を思わせた。誰もが魅せられた。

「初めまして、月影夜空です。」

鈴を転がしたような声とはこのような声かと思った。教室中がざわめく中、少しも臆することなく笑顔で話し続ける。

「私の父は日本人で、母はフランス人です。母によく似ているとよく言われます。いろいろ教えてください。よろしくお願いします。」

「月影は4月に君らと一緒に入学する予定だったんだが、帰国が遅れてしまったんだ。仲良くしてやれよ。」

「フランス人形みたい。」

「可愛いよね。」

そう行った女子のつぶやきや、男子の視線も気にせず、ただニコニコしている。鈍いのか?

「じゃあ席は…」

そう言って僕を見た。おい、やめてくれ。

「光丘の隣な。光丘、いろいろ教えてやるよーに。」

願いもむなしく、俺の隣になった。

「光丘かよ。」

「羨ましーぜ。」

クラスメートの愚痴が聞こえてくる。その時、視界に影がさした。目の前に立っていたのだ、彼女が。

「よろしくね。」

碧い瞳に見つめられ ドキドキする。と、前の席の栗山が振り向いて言った。

「いろいろだって。」

いやらしい笑い方をしながら、意味深に視線をぶつけてくる。うっとおしい。

とりあえず自己紹介をしておいた。

「僕は、光丘朝陽です。よろしく。」

「うん、よろしく。」

それだけ言うと、視線を前へ向けた。

クラスの連中の恨めしそうな視線が向けられていた。

それから一週間、彼女に教えることは何一つなかった。なぜかって、クラスの奴らが移動教室、休み時間のたびに彼女の元へ人が集まったからだ。彼女はよくあるようにいじめられてもおらず、逆に人気者だった。彼女の周りは、いつも華やいでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ