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◆2 プリプレイ 私は主役しかやりませんッッ!

ようやく、メンバーが全員揃ったようです。

いつでも遊べるわけじゃないってのがオフラインTRPGの難点だったり、

良いところだったり。

 すったもんだあった末、なし崩し的に『ドラゴンアームズ改』のキャラクターを作成することになったグリップダイスの面々。


 グリップダイスの面々を睨めつける劇辛党の額に汗がにじむ。

 下げ友、寝落ちリア充、腹黒演劇乙女の3人の額にも。

 

 ちなみにこの部屋にはクーラーがありません。

 自然に優しいゲームサークル『グリップダイス』。




劇辛党:まず、自分たちが乗るロボットを選ぶところからやろうか。

    ロボットのことは、『ドラゴンアームズ』、その種類のことは『クラス』って言うんだけど、大別して4種類、細かく言うと全部で7種類ある。

    ちなみにこのゲームでは、ロボットのことは『騎甲巨兵』と言って、「機」と書くところを「騎」と書いているから。



    (1) 襲撃騎ストライカー……白兵武器で近接攻撃!

    (2) 機甲騎ガンアサルト……銃器で近〜中距離攻撃!

    (3) 魔導騎ソーサリーガード……魔導で攻撃!

    (4) 幻操騎ストリームガード……幻操でみんなを支援!

    (5) 天剣騎イントルーダー……襲撃騎より防御が薄いけど素早く攻撃!

    (6) 狙撃騎ガンスナイパー……機甲騎よりも遠くから攻撃!

    (7) 戦術騎ストライクアサルト……白兵と銃器を使い分けて攻撃!



    という7つの騎体を選ぶとそれがそのままクラスになる感じだね。

    でも、まあ、おすすめは最初の方に説明した4種類の騎体かな。

    あとはそのバリエーションだし。


一同:へー。


腹黒演劇乙女:でも、戦術騎って近距離も遠距離もできるならいいんじゃない?


劇辛党:そこはほら、器用貧乏みたいになりかねないから、ね。


腹黒演劇乙女:なるほど。


劇辛党:で、これに加えて『出身国』を決めるわけ。

    ちなみに『出身国』ってのは単なる演出的なものじゃないよ。


下げ友:ん? ああ、さっき言ってた「自国の騎体なら階級レベル+1まで乗れる」とかそういうこと?


劇辛党:そのとおり。

    この世界―――アルビオン大陸には、全部で国が6カ国ある。

    その中のどれか、もしくはそれ以外の出身を選ぶんだけど、それによって能力が変わってくる。


腹黒演劇乙女:えっと、能力値が変わってくるの?


劇辛党:能力値も違うし、得意な騎体も変わってくる。

    さっきの話のとおり、自国で生産している騎体なら、階級レベルより騎体レベルが1高いものに乗れるって感じ。

    それに性格も出身国である程度決まるから。


下げ友:性格も決まる?


劇辛党:そう。

    簡単に説明すると、「秩序」を重んじるかと、「勇敢」かどうかというところを組み合わせる感じ。

    ま、『D&D』とかでいう『属性』だね。

    この『ドラゴンアームズ改』では、『秩序』『中立』『自由』という軸と『勇敢』『応変』『慎重』という軸に分かれている。

    これらを組み合わせて性格を決定するわけ。


腹黒演劇乙女:へー。


劇辛党:じゃあ、国も説明するね。

    一応、イメージが湧きやすいようにモデルとなっていると思われる国名も言っていくから。



    (1)  エクスタリア王国(モデル:イギリス)

       ……襲撃騎・機甲騎向け。青い目と血の貴族様。騎士道的キャラ。

         性格は『勇敢』『自由』。


    (2)  ヴァイツグラード帝国(モデル:ドイツ)

       ……機甲騎・狙撃騎向け。真っ黒い軍服姿。軍人的キャラ。

         性格は『秩序』『応変』。


    (3) ローマディア法国(モデル:イタリア・ヴァチカン)

       ……襲撃騎・魔導騎・狙撃騎向け。敬虔な信徒キャラ。

         性格は『秩序』『慎重』。


    (4) アルトクラン王国(モデル:ファンタジー国家)

       ……襲撃騎・魔導騎・天剣騎向け。魔導士の国。ファンタジーキャラ。

         性格は『中立』『応変』。


    (5) カレドア連邦(モデル:東洋諸国)

       ……機甲騎・幻操騎・天剣騎向け。連邦内に5種族がいる。東洋人キャラ。

         性格は『自由』『応変』


    (6) A.R.K(モデル:大学都市国家)

       ……幻操騎・天剣騎向け。学生という名目で誰でも入れる。様々なキャラ。

         性格は『中立』『慎重』




下げ友:なるほど。

    じゃあ、乗りたい騎体を見て国を選ぶか、国を見て乗る騎体を選ぶかって感じだね。


劇辛党:そうだね。

    それと、性格はどちらか一段階をずらすことができるから。

    例えば『秩序』『慎重』なら、『中立』『慎重』か『秩序』『応変』って感じに。


一同:はーい。


劇辛党:以上の6カ国が普通の人間の出身国だけど、それ以外に「人間をやめたい」という人にはあと3つの選択がある。

    『アバター』『ベトレイヤー』『ミューズ』だね。(ルールブックのイラストを見せつつ)



    (1) アバター

       ……アルトクラン王国にある、人類史以前からある『石英の格子』という、よくわからない思念・知性体が人間以外の知的生命体を生み出した。

         それが『アバター』。ロリロリしている。


    (2) ベトレイヤー

       ……人類が戦っている機会生命体『MIST』。それを裏切り、人類側についた人型機械。イレギュラーな存在。


    (3) ミューズ

       ……A.R.Kで作られた人型の人工生命体。

         すべて13〜16歳の女性型のみ。

         なぜ男型(というか少年型)はないのか。(腹黒演劇乙女談)



劇辛党:っつー感じだね。

    どれをやりたいのかなんだけど……。


下げ友:やっぱ、役割が違うから、別々の方がいいんだよね?


劇辛党:そりゃそうだね。

    まあ、最初に言った襲撃騎・機甲騎・魔導騎・幻操騎から選ぶのがいいと思うよ。

    だから、早い者勝ちってやつ?


腹黒演劇乙女:あ、じゃあ、私は『機甲騎』!

       ヴァイツグラード帝国出身の軍人ぽいやつやろうかな〜。


寝落ちリア充:近接って何だっけ? 襲撃騎か。

       じゃあ、僕は、『襲撃騎』!


下げ友:む。じゃあ、魔導騎か幻操騎か……。


劇辛党:別に違うのでもいいけどね。


下げ友:しかし、幻操騎は支援型だからな。


劇辛党:そうだね。支援する相手が多い方がいい騎体だし、支援以外は強くないからね。


下げ友:なら、『魔導騎』かなあ。


劇辛党:じゃあ、それぞれキャラクターを作り始めるか。




 かくして、劇辛党の指示により、下げ友以下3名はそれぞれのキャラクターを作成し始めたのであった。


 ……が。


 そこに1人の女が登場したのだ。

 そう、颯爽と。腰まである長い髪を掻き上げて。だいぶ遅くなったわりには。



 遅れてきた女は、『時間をかける少女』。

 その名前のとおりである。マイペースとは彼女のためにある言葉だと実感できる。

 ちなみに好きなスイーツは『あんこ』。「私はつぶあん派です」とは本人の談。

 そのわりには一口ようかんも好んで食べている。練りあんだけど。何でもいいのか。

 ゲームサークル『グリップダイス』のプレイヤー。ある意味、エースプレイヤーである。

 見かけのわりに年寄り臭いことをいう不思議少女でもある。

 好きなロボット物は、『ドラえもん』(下げ友調べ)。

 そして、やはりマイペースであった。遅くなったわりに。




時間をかける少女:おまたせ! 

         あ、新しいゲームだね? やるよもちろん!

         私が来たからには、主役しかやりませんッッ!


下げ友:なん……だと……ッッ!?

    主役しかやらない?


寝落ちリア充:えー? 主役だけって、どんだけ?


時間をかける少女:あ、間違えた。

         脇役はやりません! って意味。


下げ友:いや、違ってないよ……。


時間をかける少女:まあ、そういうことで!


一同:う、うん……。(勝手すぎる……)




 というわけで、当然のように(あたかも予定されていたかのように)時間をかける少女も参加することになったので、今までの説明を劇辛党が行う。




劇辛党:わかりました?


時間をかける少女:わかったよ。(ルールブックを見ながら)

         何か、大体どれもカッコイイね!

         ガンダムみたい。


下げ友:ガンダム!? 全然違うだろ?


時間をかける少女:だって四角いのが、いっぱいボボボボボってくっついてるじゃん。


劇辛党:……それはッッ……違うッッ……!


腹黒演劇乙女:えー、私も同じように思っていたんだけどー。


男一同:なにィッッッ!!


腹黒演劇乙女:ロボットってあんまり見分けつかないよね?

       全部エヴァンゲリオンか使徒に見えるかも。


時間をかける少女:そうだよ!!


腹黒演劇乙女:歩み寄ってるよねー。


時間をかける少女:ねー。


劇辛党:う……わかりました。

    とりあえず、それでいいです。


時間をかける少女:あ!!

         私、この『マーリン』って騎体がいい。

         『ガンダム』みたいだしね。


下げ友:いや、まったく『ガンダム』には似ていないし、それにすいません、それは魔導騎です。

    俺がキャラを作り始めてます。


時間をかける少女:そっか、まあ他のでいいよ。主役なら。


下げ友:いきなり主人公狙いかよ!?


時間をかける少女:ダメなの?


劇辛党:別にダメじゃないですけど……。


時間をかける少女:なら、問題ないよね?


下げ友:とは言っても、あとは、幻操機だけどな。あいてるの。

    支援型の。


時間をかける少女:支援型かー。どうしようかなー。

         あ、じゃあ、『アバター』の『天剣騎』で。

         『アバター』はかわいいし、『天剣騎』はカッコイイからね!


劇辛党:なるほど。

    いいんじゃないですか?

    じゃあ、それぞれのキャラクターを作っていきますか。

    ちなみに、サンプルキャラクターを使って作成するか、完全にイチから作る方法があるけど。


一同:イチから作る!! 


劇辛党:わかりました。

    では、その方向で。

    どんな感じのキャラを作るのか教えて下さい。


時間をかける少女:私は決まってるから。

         『アバター』で『天剣騎』!!

         主人公だからね。




 即決である。名前にそぐわない言動であった。




下げ友:『アバター』って段階で、主人公っぽくない気がするけどなー。


時間をかける少女:いいの!


腹黒演劇乙女:私は、『ヴァイツグラード帝国』出身の『機甲騎』。


寝落ちリア充:僕は、『エクスタリア王国』出身の『襲撃騎』で。


下げ友:じゃあ、俺は、『アルトクラン王国』出身の『魔導騎』かな。


劇辛党:なるほど。幻操騎はないけど、まあ、いいんじゃないかな。

    じゃあ、それぞれ『能力基本値』を言ってくよー。


時間をかける少女:え? 下げ友のロボット、怖いんだけど。

         わるそー。




 時間をかける少女が見ていたのは、『アルトクラン王国』出身のサンプルキャラクターが乗る『魔導騎』である。

 『トリグラフ』という名称のその騎体は、騎体レベルが2と高性能でありながら、『エヴァンゲリオン』(の使徒)を彷彿とさせるデザインであった。

 でも、魔導を使う時にボーナスが一杯もらえるんだよ?




腹黒演劇乙女:ホントだ。何か使徒みたーい。


寝落ちリア充:確かに。


時間をかける少女:絶対、『マーリン』だけどね。カッコイイのは。


下げ友:まあ、そうだな。

    じゃあ、『マーリン』にしようかな……。


時間をかける少女:ちょっと! 『マーリン』は私が乗るはずだったんだからね!?


下げ友:え!? いや、もし、『魔導騎』がやりたければ代わってもいいけど。


時間をかける少女:……うーん。いいや。『天剣騎』で。

         (イラストを見ながら)『ファルコII』もカッコイイしね。

         うーん……『マーリン』って『天剣騎』にならないの?


劇辛党:ちょっと、今のところ、それはムリですかね……。


時間をかける少女:わかった!


下げ友:えーと、じゃあ、不評だから俺も騎体を変えるか。


劇辛党:えー、いいじゃん、やりなよ。悪役。


下げ友:やだよー。

    えーと、『魔導騎』は『トリグラフ』と『マーリン』以外にあるの?


劇辛党:えーと(ルールブック確認)『ローマディア法国』にあるね。

    『デクリオン』ってやつ。騎体レベルは2。(イラストを見せる)

    だから、やるなら『階級』を上げるか、『ローマディア法国』出身にするかだね。


下げ友:うーん。


時間をかける少女:あ、いいじゃん。これ。『マーリン』の方がいいけどね。

         さっきの(『トリグラフ』)よりはいいよね。

         悪者っぽくないしね。


下げ友:じゃあ、これにするかー。


劇辛党:あ、これ『レギュレート』だ。


下げ友:なにィーー!!


劇辛党:まあ、いいじゃん、やりなよ。『レギュレート』。

    性能も悪くないし。

    ほら、プレイヤーの腕の、見・せ・ど・こ・ろ?


下げ友:そ、そうかな?

    え、もし同じ立場だったら『レギュレート』やる?


劇辛党:やらないけど。


下げ友:…………。


劇辛党:コホン。

    まあ、でも、『レギュレート』がどのくらいのものなのか確認したいから、やってもらえると助かるな。

    ……それができるのは下げ友、君しかしないと思っている(キメ顔)。


下げ友:……わかったよ、劇辛党!(キメ顔)

    じゃあ、『ローマディア法国』出身の『魔導騎』で。

    『レギュレート』の『デクリオン』に乗るよ。




 劇辛党、なかなかの策士である。




劇辛党:ということで、それぞれ作るキャラクターも決まってきたので、能力値を言っていくよー。


一同:はーい。




 かくして、なし崩し的に『ドラゴンアームズ改バハムートラグーン』のキャラクターを作ることになったグリップダイスの面々。

 なかには、あれほど拒んでいた『レギュレートアームズ』を作成することになったメンバーもいるようだ。「私はレギュレート派です」とは本人の談。



 果たして、時間をかける少女は主人公を張れるキャラクターを作成することができるのか?

 っていうか、そもそも『ドラゴンアームズ』の騎体を「四角がボボボボってくっついてて、ガンダムみたいでカッコイイ!」などと言ってますけど?

 絶対に似てないけどなー。

 あれか、「車の見分けがつかない」っていうのと同じですね。きっと。なら仕方がない。


 というわけで、キャラクター作成に移ります。

 みんなが待ちわびてるぜ!(下げ友調べ)




 待て! 次回!


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