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◆9 オープニングフェイズ 『改』が重要。とても大事。

 キャラクターはできあがった。

 シナリオも(多分)できている。

 キャラクターシートの前でダイスを握りしめ、劇辛党に顔を向けるグリップダイスの面々。

 劇辛党が厳かにこう告げる。「OK、それではシナリオを始めよう」




劇辛党→GM:それじゃあ、シナリオ始めるよー。


一同:おおー!!


GM:背景世界はさっき(あらすじで)説明したとおりだよ。

   ま、詳しいことはおいおいわかっていくと思うので。


一同:はーい。


GM:じゃあ、一応、簡単に自己紹介をしてもらおうかな。


下げ友→ジーノ:ジーノ・ガリバルディだ。

        結構、渋くやっていくつもりでいるんで。

        あ、レギュレートの魔導騎のデクリオンに乗ってる。


寝落ちリア充→モーゼル:モーゼル・ルーカスです。えっと、頑張ります。

            襲撃騎のオートクレールに乗ってます。


腹黒演劇乙女→カトレーン:「カトレーン・バウアーだ。よろしく頼む。

             騎体は、機甲騎のザイドリッツだ」


ジーノ:え、何で急にいばってんの?


GM:もう始まってるんだよ。ロールプレイ。


ジーノ:え?


カトレーン:「うむ。よろしく頼む」


ジーノ:あ、ハイ。


時間をかける少女→アミー:アマランサスだよ! アミーって呼んでね!

             騎体は、天剣騎のファルコII!


GM:了解。細かいところは、キャラを作っている時に、お互いに把握している部分もあると思うんで省略方向でー。


一同:はーい。


ジーノ:そう言えば、このゲームってハンドアウト(GMからPLに渡される事前のメモ)使うんじゃないの?

    PC1(PCの果たす役割の指針)とかPC4とか。PC間で感情を取り合ったりして。

    アクトコネ(シナリオ中のみ有効の人間関係)とか。

    あと、ほら。アクトトレーラー(今回予告)も。


GM:使いません。


ジーノ:え? いいの? 使わなくて。


GM:はい。

   別にどうしても使わなければいけないルールというわけではないですし。


ジーノ:いや、あの、ここリプレイに載せたりすると、どうかなーって……。


カトレーン:うん……。


GM:う……。

   そ、そんなことくらいでF.E.A.R.の人たちはガタガタ言ったりしないッッ!!





 もし、これを読んでいる読者の中に、万が一、作者である久保田悠羅先生を始め、F.E.A.R.の関係者の方がいたとしたらすみません。

 感想欄にお叱りの言葉をお待ちしています。

 グリップダイス代表、GMこと劇辛党が責任を持って謝罪致します。

 とか言って、実際、そんなことがあったらビックリだよ!

 あ、でも嬉しいか。感想をもらうのは。やる気が出るし。



 「みなさんの感想をお待ちしています!」(キリッ)





ジーノ:いや、そういうことじゃなく……。

    まあ、いいけどね。別になくても。


GM:今回の話は一番最初の話ですから、ちょっと特殊なんです。

   というわけで、トレーラーもハンドアウトもありません。


ジーノ:そう言えば、エーテリックのチャージはどうするんだ?

    確か、他のPCやNPCに対する感情に絡めてロールプレイするとチャージできる、とかだったような気がするけど……。

    PC間の感情がないと、ほとんどチャージできないじゃん。


GM:できますよ。

   いいロールプレイだとGMが判断したらOKで。

   つまり、PC間の感情は、そのシーンにあったものであれば自由でいいですよ。

   もちろん、感情を持っているNPCに対してのロールプレイでも構いません。

   それに自分の性格に沿ったロールプレイでもいいですよ。

   例えば性格が「慎重」なら、それに沿ったロールプレイ。

   要は、いいロールプレイをしたかどうかですよ。

   ああ、でも何度も同じようなパターンのロールプレイだったらチャージは許しませんよ?


ジーノ:えー、それじゃあもらえないじゃん。


モーゼル:うん、もらえない……。


GM:じゃあ、いいロールプレイしろよ!


カトレーン:えー。コホン。

      「よろしく頼む」(キリッ)


GM:いや、それは意味わかんないんで。

   っていうかエーテリックもないし。


カトレーン:ちぇー。


アミー:わかった! でも大丈夫だよ。だって主役だからね!


GM:ああ、そうだ。

   みんなにエーテリック配りますねー。


一同:やったー!(歓声)





 話が面倒なことになりそうだと判断したGMは、あらかじめ用意していたトランプ(エーテリック)をシャッフルして配りだした。

 それぞれの手元に4枚ずつエーテリックが行き渡る。

 それぞれが手札を見て「おおー」とか「えー」とか声を上げる。

 別にポーカーとかじゃないので、実際は、そんなに一喜一憂するほどのことではない。でも、やっぱりエースとかあると嬉しいのは人情ですね。





GM:……あの、さっきも説明しましたけど、手札にあるだけじゃあ、ダメなんですからね。

   シーンに登場してプロット(札を裏向きにおくこと)してから、いいロールプレイしてチャージして、初めてコストになるんですからね。


モーゼル:うん、わかった。ロールプレイ、する。


ジーノ:何でカタコトっぽいんだよ。


アミー:ねえ、このトランプのスートがエーテリックのコストになるんだよね。


GM:そうです。


アミー:数字の方は何か関係あるの? 絵札とか。


GM:お、いいところに気がつきましたね。関係ありますよ。

   実は、チャージしたエーテリックは、『OERS』のコスト以外にも使い道があるんですよ。


一同:なにッッ!!


GM:チャージした分は、判定をした時に達成値を上げるために使うことができますよ。

   この時は、スートは関係ありません。

   数字の高い低いも関係ありません。


モーゼル:数字が高い方がいいんじゃないんだ。


GM:そうです。

   でも、「数字」「絵札」「A」といった区別があります。


アミー:そうなの?


GM:「数字」は+1。「絵札」なら+2。「A」なら何と+5。


モーゼル:A、すごッッ!!


GM:「ジョーカー」は何にでも読めるワイルドカードですね。


アミー:10は?


GM:……(ルールブック確認)……数字ですから+1です。

   +2は絵札だけですね。


カトレーン:なるほどー。じゃあ、チャージする時にいいスートがない時は、いいカードを出した方がいいんだね。


GM:まあ、そうですね。

   でも、いいロールプレイをすれば、シーン中、お互いに1枚ずつエーテリックを交換できますからね。

   それに戦闘中なら、1ターンに1枚、チャージした分のエーテリックを誰かに渡せますよ。


ジーノ:なるほど。

    みんなわかったなー!

    《サンダーヘブンハンマー》の時はよろしくな。


アミー:ハイハイ。自分で集めようね。


GM:じゃあ、始めるよー。


一同:はーい!!


GM:では、君たちがおかれている状況から説明しておこう。

   君たちは今、“巨竜艦”バハムートに搭乗している。

   バハムートは3000m級の巨大戦艦で、君たちの母艦だ。

   ただし、飛べない。

   もう2年も大地に着座している状態だよ。

   そのために、ドラゴンアームズも出撃できない。


モーゼル:何でドラゴンアームズも出撃できないの?


GM:打ち出し用のカタパルトが使用できないからです。


カトレーン:えー、じゃあ、どうやって戦ってるの?


GM:はい、それは、移動できないバハムートの上空にヴリトラ級の竜翔騎りゅうしょうき5隻が待機していて、そこで迫り来るMISTの大群を何とか退けている状態です。

   ちなみにヴリトラ級というのは100m級の戦艦だね。

   母艦バハムートが空を飛べていれば、世界各地を転進して、そこでアームズを撃ち出してMISTを制圧、という感じなんだけど、このとおり動くことが出来ないから……。


ジーノ:守備範囲が極端に狭くなってるのか。


GM:そうです。

   飛べなくなってからの2年間、バハムートは地上要塞と化しています。

   しかし、それでは、バハムートの周りしか守れない。

   それで、各国からは莫大な修理費が捻出されていて、バハムートの修理がじりじりと進んでいます。

   でも、飛べない。


アミー:何で修理できないの?


GM:バハムートの根本的な構造がよくわからないからです。

   もちろん、兵器として使うだけなら普通に使えて、ある程度は整備とかできますが、それ以上のことはできないんです。

バハムートはもともと過去の遺物ですから。


カトレーン:あ、そう言えば、バハムートって遺跡から浮かび上がったんだっけ。


GM:もっとも、バハムートのもともとの部分にゴテゴテと色んな物を付け足したりしていますけどね。

   街もありますし。


カトレーン:街もあるの!? バハムートに?


GM:はい。「リンドブルグ」という街です。

   ま、いずれにしてもバハムートは飛べない。

   で、MISTは、その動けないバハムートを沈めにかかってるって感じですね。

   バハムートを落とせば、人類は抵抗できなくなりますから。

   だから、ドラゴンアームズ、レギュレートアームズに限らず、大半のアームズ乗りはバハムート上空を飛んでいるヴリトラ級の竜翔騎で待機して、MISTの襲撃に備えているわけです。


アミー:じゃあ、私たちも上空にいるの?


GM:いや、君たちが所属する傭兵団ナーガロンドは、現在、母艦バハムートにいる。

   そんな感じの状況からオープニングが始まる。





【マスターシーン】



GM:最初にカメラがスクリーンに映し出すのは……。


アミー:カメラ?

    スクリーンって?


GM:ああ、F.E.A.R.のゲームでは、映画の撮影のようにカメラがあって、時にアングルを変えて観客に色々な場面を見せているような演出が行われるんだ。

   だから、キャラクター視点だったり、時に上空からの視点になったりとカメラワークの演出的説明が入ることが多いんだよ。

   映画を撮るみたいにTRPGをする感じかな。


カトレーン:なるほどー。


GM:地面に横たわった“巨竜艦”バハムート。

   艦長は、DAFのナンバー2、ロバート・フランシス大竜将。

   そして……。

   上空では、ヴリトラ級の竜翔騎5隻が旋回している。

   旗艦である竜翔騎“ロイヤルドラゴン”の中枢である艦橋ブリッジ

   艦長席には、長い白髪とあご髭を蓄え、顔には長い戦いで刻みつけられた皺だらけの顔をした老人が座っている。

   この老人こそが、DAFのトップ、エドガー・ブロック元帥その人。

   エドガー・ブロックは、重々しくこう告げる。


GM/エドガー:「……バハムートに繋げ。秘匿通信」


GM:エドガー・ブロック艦長がそう告げると、そばに控えていた幻操士の女の子がブツブツと呪文を唱えます。

   すると、艦長席の前にある大きなパネルに、眼鏡をかけたおっさんが映し出されます。

   映し出されたのは、バハムートにいるロバート・フランシスです。


カトレーン:えーと、エドガー・ブロックって人とロバート・フランシスって人なんだよね。


GM:(ルールブックのイラストを見せる)

   えーと、こっちの「髪が長くてヒゲのおじいさん」がエドガー・ブロック。

   エドガーが、空のロイヤルドラゴンにいて、一番エライ人。

   こっちの「眼鏡をかけたおっさん」がロバート・フランシス。

   ロバートが、地上のバハムートにいて、二番目にエライ人。


カトレーン:おおー。そっかー。


モーゼル:エドガーさんの方、眉毛ながっっ!


GM:で、エドガーの前の大きなパネルにロバートの姿が映し出されると、幻操士の女の子が、「通信回路、開きました!」と告げる。


GM/エドガー:「竜のあけぼの作戦もここまで来たか……」


GM/ロバート:「あとわずか……あとわずかで、このバハムートが再び飛び立つ時が……」


GM/エドガー:「しかし、このようなことを……」


GM:そう言ってエドガーは眉を曇らせます。


GM/ロバート:「老いられましたか、ブロック元帥。

        今まで、バハムートが大地の頚木くびきから離れ、飛び立つのならば、いかなる犠牲でも払ってきたではありませんか」


GM:ロバートがそう答えると、エドガー・ブロックは冷徹な目に戻って「うむ」と頷きます。


GM/エドガー:「作戦の責任はどうあれ我々二人が取る。

        バハムートは、人類の救世主。

        どんな犠牲を払ってでも」


GM:エドガー・ブロックが暗い目をしてそう呟くとカメラがゆっくりと引いていきます。


GM:やがてカメラは、燃えるような夕陽の中、荒野の中に着座するバハムート、そしてその上空をゆっくりと旋回する竜翔騎5隻の姿を映し出します。

   それをバックに……。

   ここで画面中央にタイトルがババーン!!


アミー:タイトル?


GM:そう、タイトル。

   『ドラゴンアームズ』! と上に!

   『バハムートライジング』! と下に!

   そして、最後、真ん中にやたらと大きく『改』!


モーゼル:『改』?


GM:そう『改』!

   『2(ツー)』とかじゃなくて『改』!


カトレーン:なんでー?


GM:なんでも!

   とにかく『改』が重要。とても大事。


モーゼル:へー。


ジーノ:あー、それ、何かわかるわー。


アミー:絶っ対、わかってないよね!?





 このタイトルコール『ドラゴンアームズ改バハムートライジング』の、特に『改』の文字ポイントを大きくしたりできない現実。

 それが非常に残念である。

 だからこそ、ここにこうして記しておく。

 ここは読者のみなさんも心の中で、『改』の部分をやたらと大きくしたりして楽しんでいただきたい。

 そうすれば、GMが、なぜそこまで『改』にこだわっているのか見えてくるだろう。たぶん。




 そして、さらにこれもお聴き頂ければ幸いである。

 『ドラゴンアームズ改バハムートライジング』非公認主題歌。

 かの名曲『宇宙戦艦ヤマト』の脳内メロディーを流しつつどうぞ。




 『“巨竜戦艦”バハムート』


  作詞:下げ友

  作曲:あなた



 「来たかー ♪

  MISTミストよー ♪


  迎えー討つのはー ♪

  巨竜きょりゅうー戦艦ー ♪

  バーハームー〔ト〕 ♪


  搭載されたー ♪

  ドラゴンアームズ ♪


  撃ーち出しながらー ♪

  MISTをたーたーくー ♪

 

  かならー人類ヒトのー ♪

  未来ーを守るー ♪


  量産騎りょうさーんきでーはー ♪

  歯が立ーたないからー ♪


  地上を離れー ♪

  そーらへと昇る ♪

 

  つーいに撃つーのかー ♪

  《サンダー・ヘブーン・ハーンマー》! ♪」




 “巨竜艦”を“巨竜「戦」艦”と読む程度は想定内である。

 しかし、歌詞内で「バハムート」の「ト」が字余りになったのが非常に心残りである。残念。


 あと、バハムートは、まだ飛べていませんが、多分、飛ぶはずなので、オッケーだと思います。





GM:というわけで、オープニングフェイズのマスターシーンは終了です。


一同:はーい!


GM:で、次からはミドルフェイズになります。

   それぞれのシーンには、シーンプレイヤー(シーンの中心人物になるプレイヤー)がいて、そのシーンを作っていきます。

   このゲームでは、それぞれがシーンに登場する数に制限はないので、登場したければ、どんどん登場できます。

   まあ、登場判定は必要ですが。


ジーノ:どんどん登場していいんだ?


GM:もちろんです。

   登場して、いいロールプレイをして、エーテリックをチャージして下さい。

   ただ、わかっているとは思うけど、シーンプレイヤー以外のプレイヤーは、分をわきまえてね。


一同:はーい!


GM:それでは、ミドルフェイズに移りましょう!





 こうして無事にオープニングフェイズを終え、次からはシナリオの中盤とも言えるミドルフェイズに突入することに。

 次回からは、プレイヤー各員の『改』に対するこだわりのロールプレイをご確認下さい。




 ってあれ?

 今、リプレイ書いてて気づいたけど、どこかに「I WANT YOU 『DAF』」って書いてあったような……。

 俺たちが入っているのは「傭兵団ナーガロンド」なんだけど。



 ……まあ、小さいことだからいいよね。小さいことだから。

 細かいことは気にすんな!(細かくありません)

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