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あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―  作者: 七転び八起き


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第13話 もう隠さない

 朝起きると雨が降っていた。


 雨の日の出勤は憂鬱。


「雨だな」


「困りましたね〜」


 二人で迎える朝はどんな天気でも平和だ。


「一緒に車で行くんだから関係ないだろ」


「いえ、私は電車で行きます」


「なんでだよ……」


 また河内さんが落ち込んでしまった。


「特別扱いされるのはもう嫌なんです」


「俺たちは恋人だろ。特別だ」


 河内さんの目に迷いはない。


「でも仕事では特別扱いはだめですよ」


 裏秘書みたいな状態だけど、もうコソコソするのも罪悪感があって嫌だった。


「じゃあお前は今日、雨の中電車で行くのか?」


「はい」


 呆れて先に準備をして、河内さんは行ってしまった。


 そして……ついにきてしまったこの時が――


「藤田さん、結局“企画開発部”って何?藤田さんしか配属されてないんでしょ?本当は副社長に囲われてるんでしょ?」


 前の部署の先輩に公然と質問されてしまった。

 昼休憩中だったから、前の上司もいないし、社員もまばら。

 でも見られている……。


「どんな事したら、そんないい仕事ができるの?羨ましい。何もしてなくても給料もらえて」


“何もしてない”……?

 この人だけには言われたくなかった。


「私はやってます仕事を。この部署にいた時、あなたに仕事を押し付けられてもやってました」


 私は前を向いた。


「私は今もちゃんと自分のやるべきことをやってます!ちゃんと副社長の秘書業務をやってます!」


 ………言ってしまった。

 勢い余って……。


「秘書……!?」


 フロアがざわついた。

 まずい……これは……。


「……やっぱり副社長と仲良しなんじゃない。でもあの人、秘書と昔トラブルがあって、もう秘書を置かないって聞いてたけど?」


 え……?

 私の唖然とした顔に、クスッと先輩は笑った。


「勘違いしない方がいいわよ」


 ……そんなトラブルがあったの?

 寝耳に水だ。


 でも――


「勘違いはしてません!」


 私の隣には永瀬さんがいる。

 昼休み中に会いにきてくれた。


「最近二人がどうなったか気になって来たのに、どうしたの?」


「前の部署の先輩に、河内さんが昔秘書とトラブルがあったって言ってて」


「あーなんかあったかも。あまり知らないけど」


 胸がザワザワして、嫌な感情が渦巻く。


「でも、ちゃんとまだ恋人なんだね。安心した」


「私も永瀬さんと話せて、気持ちが楽になりました」


 私たちの関係を唯一ちゃんと知っている人。


「わからない事は本人に聞きなよ。考えてても仕方ないし」


「うーん」


 それを聞いたからといって、特に今の関係が変わるとは思わないけど……。


「ストレス発散したいです!」


「あーじゃあ仕事終わったらカラオケいこう!」


 永瀬さんがのってくれた。

 そして、仕事が終わった後、カラオケで二人でたくさん歌って笑ってスッキリして出てきた。


「永瀬さんありがとうございます!」


 その時、永瀬さんの表情が固まった。

 嫌な予感がした。


 振り返ると……また河内さん。


「何をしているんだお前らは」


「なんで突然いつも現れるんですか!!」


 河内さんは永瀬さんの方に行った。


「優美に何もしてないよな?」


「あの子のあの様子で何かあったと思う?」


 永瀬さんはやや呆れている。

 二人ともお酒を飲んでフラフラした私を見ている。


「飲めないんだろお前!?」


「ストレス発散したくて飲んじゃったんです。なんか体痒いです!」


 私は急いで河内さんの家に連れて行かれた。

 河内さんのベッドで横になった。


「何かあったのか?」


「……前の秘書の方と何かあったんですか?」


 河内さんは少し驚いた後、冷静な表情になった。


「ああ。恋愛感情を持たれていて、強く迫られて、ややストーカー気味になって、秘書をやめさせた」


 そんな事があったんだ……。


「それは大変でしたね……」


 河内さんに睨まれた。


「誰から聞いた」


「前の部署の先輩です……。秘書の仕事してるって言ってしまって、そしたらそれを言われました」


 河内さんはため息をついた。


「わざわざ“企画開発部”を作った意味がない」


「そんな事ないです!今は何か言われても言い返せますけど、あの時は無理でした……」


 私はあの時からだいぶ変わったと思う。


「逞しくなったな。もう秘書と言ってしまった以上、堂々としてろ。お前はちゃんと仕事をしてる」


「……私、役に立ってます?」


 河内さんの目の色が変わった。


 何……?


「優美が一生懸命仕事する姿に俺はやる気をもらえる。と同時に……崩したくなる」


「崩す……?」


 怪しげな瞳が私を捉える。


「俺にしか見せない表情を見たくなる」


 服のボタンが外されていった。


「河内さん、私……」


「なんだ」


「全身痒いんです……」


 アルコールアレルギーのせいで全身蕁麻疹が出ていた。


「一生飲むな……」


 悔しそうな河内さんを見て、申し訳なかった。

 暫く落ち着くまで二人で夜景を見ていた。


「あ、言うのを忘れていた。今度出張で遠くに行く。優美にも同行してほしい」


「え、私も?」


「ああ」


 出張に同行!

 私は期待してワクワクしていた。


 あんな事が起こるとも知らずに――。

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