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旅の始まり

 「ところでさ、この本で本当に元の世界に戻れるかな……」


エリアスは心配そうに言うと、ユーリアは優しく答えた。


「大丈夫、心配しないで、きっと戻れる」


エリアスはその言葉を聞くと安心した。ユーリアはなぜか人を安心させるような声をしている。2人は今、夜の川辺に寝そべっている。空には無数の星がきらきらと輝いていて落ち着ける場所。


「ねぇ、ここ、すごくいいでしょ……私のお気に入りの場所なの」

「ああ、リラックスできるよ、今夜はいい夢を見られそう」

「ふふ、よかった」


そんな他愛ないおしゃべりをしている内に2人は眠りについた。


 朝、太陽が昇ってきた。

 

 この世界の日の出は地球のどの場所から見た日の出よりも美しいらしい。山から段々と光が見えてきて、空と山の境目が白くなっていく。エリアスは太陽の光に起こされ、しばらく日の出を眺めていたが、ふと隣を見るとユーリアが座っていた。ユーリアもエリアスが自分の事を見ている事に気が付き、2人は顔を見合わせて笑った。


 完全に太陽が昇ると、エリアスは立ちながら言った。


「じゃあ、そろそろ行こうか」

「どこか行く当てはあるの?」


ユーリアが聞くと、エリアスは苦笑いして答えた。


「いや、ない……君はどこかいい所知ってる?」


ユーリアはしばらく考えてからこう言った。


「ん~、じゃあまず魔法を習得しよう、えっと、だから、街に行こう」


 この世界には3つの大きな街がある。カトレア、ガーベラ、スイレンだ。カトレアは主に魔法学校や自分の魔法属性を調べる教会など魔法関係の建物が建ち、この世界で一番栄えている街だ。ガーベラは研究者達が集まる街で、ここもにぎわっている。最後、スイレンは商人達が集まる街で、色々な店が立ち並んでいる。


「ねぇ、この世界では、街の名前って全部花の名前なの?」


エリアスが尋ねるとユーリアは不思議そうなような顔をして言った。


「ハナ?それ何?」

「え?知らないの?そこら辺に生えて……ない」

「もしかして、あなたの世界にはあって私の世界にはないのかも」

「そっか、じゃあ僕の世界に来たら見せてあげる、って言っても花なんてもうないかもな……」

「そっか……あ、ほら、見えてきた!あそこに見えるのがカトレアだよ」


ユーリアは少し湿った空気を元に戻そうとして急いで話題を変えた。エリアスはすぐにそっちに気を取られ、表情が明るくなった。


「わぁ!あれがカトレアだね!?すっげー!」


カトレアには、不思議な建物がたくさんあった。宙に浮いている小屋、ショーケースに頭蓋骨が飾ってある店、動いているマネキンがいる美容室など……。そんな建物が並んでいる通りをしばらく2人は歩いていたが、ふいにユーリアが立ち止まってエリアスの方を振り返った。


「ここが自分の魔法属性を知ることができる店だよ、さ、入って入って」


その店の中は暗くて、一人の年老いた老人が紫色の水晶を机の上に乗せ、椅子に座っていた。


「お前か、魔法属性を知りたいという者は?ならここに座りなさい」


老人はそう言って自分の向かい側の椅子を指差した。エリアスは言われる通りに座った。すると老人は何やら呪文を唱え、言った。


「この水晶をよく見なさい、何が見える?」

「炎、水、風、土、雷……いろんなマークが輪になってます」


エリアスが答えると老人は目を見開いて言った。


「なんという事だ……!こんな事はもう起こるまいと思っておったのに!神よ、神がこの世界に現れた!」








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