酒とホテルは使いよう
いつもと違う天井。いつもと違う布団。いつもと違う隣からの息遣い。
「またやっちゃった。」
またまた私は、そこら辺の男と寝てしまったらしい。そう、ワンナイトってやつ?
酒が入るといつもこうだ。その度に男からは付き合おうと迫られるが、そんなことは望んでいない。
「ねぇ、起きてよ」
私は隣で寝ている彼を揺すった。どうやら今回の相手は私より年下っぽい子だったらしい。身体は白く細く、やけに伸びた襟足。顔はまぁ綺麗めで全体的に中性的かな。ホストと言われたらしっくりくる感じだ。
「おはよ、お姉さん。」
「……おはよ。」
……お姉さん。やはり年下だったらしい。まだ眠そうな彼は目を擦りながら私に言った。
「昨日は、僕を拾ってくれてありがとう。」
「拾った?」
「うん。お姉さん、駅で立ち尽くしてた僕を拾ってホテルに泊めてくれたでしょ。すごい酔ってたから覚えてないかな。」
「え、、」
待ってくれ、これってもしかしてただの男の子じゃなくて訳あり?
いつものお互いノリノリでホテルインした感じじゃないやつ?
「ねえ、お姉さん昨日のこと覚えてないんだけどちょっと教えてくれる?」
「え、うん。昨日は家出した僕をお姉さんが拾ってここに来て、お姉さんがコンビニで買ってたご飯を食べさせてくれて。」
お、私もしかして何もせずにただ泊めてご飯食べさせてあげただけかな?やれば出来る子だったかな?
「そのあとは一緒にお風呂に入って、、、体洗ってたらその、、お姉さんが手で、、」
途端、彼の頬は少し赤くなった。
手で……
やっぱダメだったみたい私☆
結局手を出してたなんて、、
「その、、なんかごめんね嫌だったよね」
「え、ううん。むしろすごい楽しかったよ!
初めてだったけど気持ちよかったし。」
しかも初めてだったかぁ、童貞だったかぁ。
やばいなぁ。これって大丈夫なのか?
そもそもこの子何歳だ。
「それは良かったわ。ところで、君っていくつなの?」
彼は顔を少し布団に隠して、微かに聞こえるかくらいの声量で言った。
「1……17歳です。」
「はぁ?!」
私は寝起きの声量とは思えない程の声が出たことにも自分で驚いた。17歳。これってやばいでしょ。
私26よ。まだ未成年よ。しかも連れ込んで私から手を出して。
「お願い、このことは絶対誰にも言わないで。」
少年は少し不思議そうな顔をしながら頷き口を開いた。
「言わないよ?……それにお姉さんと昨日付き合ったからもしなんかあっても恋人同士なら大丈夫だよねっ。」
「えぇ?……」
どうやら昨日の私は、この少年と恋に落ちていたらしい。