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2.片手剣のスキル持ってなかった…。

 全く気付かなかった…。やっぱり説明を最後まで読むのは大事だね…。


「じゃ説明に移るね。トルスに聞いてきたのはあれだよね?説明文になにも書かれてなかったからだよね?」


 そう。実は一回【旅の心得】がどんなスキルなのか確認するために、スキルの説明見たんだよ。でもなんにも書いて無くて…。一体どんなスキルなんだよ~~~~!?ってなったから聞いてみたってわけ。


「そうです。全くどんなスキルかわかんなくて困ってました」

「…ふーん。で、スキルの効果だけど、旅に関わる色々な行動にバフがかかって、ステータスにも常時バフがかかるんだって。スキルレベルが低いと微々たるものだけど、他の常時バフ系のスキルも重複して獲得できるみたいだから結構化けるスキルなんじゃない?」

「へぇ…。なるほど。」


 …それにしても、旅に関わる色々な行動ってなに?料理とか、火を起こすのが楽にできる的な?それは置いといて、常にバフがかかるのは大きいな。他の常時バフ系のスキルも重ねて効果があるもの嬉しい。助かる。


 えぇっと、確か常時バフ系って【自動MP回復】とか、【自動HP回復】、そして【攻撃力増強】などなど種類が多かったやつだよね。さっきトルスから教わった。


「質問に答えてくださりありがとうございます。では、私はこれで失礼します」

「あ、うん、またね、スカイお姉ちゃん!」

「…」


 だから私の名前は覚えなくていいって、トルス!そんなことを考えながら、チュートリアル終了ボタンを押した。


 ◇◆◇


「…ねぇ、行っちゃったよ?追いかけなくていいの?」


 そう少年に問いかける、幼い女の子はトルス。このアバターの見た目こそロリだが、現実では全くそんなことはない。彼女はロリが好きだから、思い切ってアバターをロリにしたのだ。


「もちろん追いかけるよ?でもすぐ追いかけなくていいでしょ。あの子の気配はもう覚えたし。」


 そう答える少年はレイタス。彼がわざわざ運営に問い合わせてあげたのは、"自分に頼られた"から。ただそれだけである。


 つまりはこういうことなのであろう。

 スカイがスキルについて質問→トルスが指南役同士でだけ繋がってる特殊なテレパシーで質問→レイタスは「自分に聞かれた!?ってことは、俺を頼りにしてるってことだよね?」そんな流れで自分が頼られたと勘違いしていたようだ。うん、よく考えても意味が分からないような思考回路だ。


「へぇ。ってことは、気に入ったんだ、スカイお姉ちゃんのこと?」

「俺とアンタの2人だけの時はその喋り方やめて。中身知ってるから気持ち悪い…。」

「えー仕方ないなぁ。わかったよー…」

「で、俺があの子を気に入ってるか、だって?」


 ――――それはもちろん。


 そう答えるレイタスは、新しい玩具をもらった時の子供のような、きらきらさせた目をした。


「理由は?」

「このゲームで初めて俺を頼ったのがあの子だったから。それだけじゃ足りない?…あぁ、足りないんだ」

「じゃあ一番最初に頼られた人ならだれでもよかったってこと?そういうことだよね?」

「そんなわけないでしょ!あとは俺にはじめて親切にしてくれたから?俺、"はじめて"に弱いんだよねー」

「…。まぁさっきよりは納得できる理由か。いや待って、そんなことない。今納得できるって言ったけど絶対違う。納得できない…。はぁ、それ以外にも隠してる理由があるんでしょ?」


 トルスのその言葉を受けて、レイタスは図星を突かれたようで零れ落ちてしまいそうなくらいに目を開いた。そして、少し考えるように間をあけて、どこか遠い景色を、記憶を懐かしんでいるように優しく目を細めた。


「…まぁ、あるにはあるけど。でもそれは、今君に話すような内容でもないし。」

「ならレイタス、君が私に伝えてもいいって思った時にその隠した理由を教えて。いい?」

「うーん…。はぁ、仕方ないな。いいよ、わかった。いつか理由を話すよ。」


 ―――ま、俺がトルスに話してもいいって思うときなんて、きっと来ないけど。そう口に出さなかった言葉を心の中で言った。


「チュートリアル指南役って、別に教える子が来なければ自由に過ごしてよかったよね?」

「確かそうだったね。てことは戦ったりするの?」

「えーもう忘れちゃった?俺ら街には行けるけど戦えないよ?」

「そうだった。ごめんごめん。まぁ指南役は3日間だけだし自由にやればいいんじゃない?」


 彼ら指南役は3日間という短い期間で募集された。一番はじめはプレイヤーがどのようにチュートリアルを進めるか、また、プレイヤーがどのように振舞うか。それによってどのくらいのAIを積むか判断するためだ。


 なお、提示された報酬はこのゲームと、多めの給料。多めの報酬はともかく、このゲームをプレゼントするというのは、手に入らなかった人にとっては嬉しすぎる報酬だ。


 …まあいくら報酬がよくても、全然利用されないサイトで募集したため、応募された人数は少ない。たった9人である。そのため、全員採用だったのだ。


「じゃ行ってくるー」

「はいはーい。天使とかその辺の種族が来なければいいねー」


 そう言ってレイタスはスカイが行った場所へと向かった。


 ◇◆◇

 …。チュートリアルを受けたはいいものの、その後何をするか全く考えてなかった。

 どうしようかな…。リリース開始からあんまり時間が経ってないから冒険者ギルドも混んでるだろうし。


 となると、今ある選択肢は2つ。街を適当にぶらぶらするか、街の外に出て戦いにいくか。


 ―――あ、街をぶらぶらするにしてもお金ないや。1000リーンもらってはいるけど、もうちょっと余裕を持たせておきたい。リーンっていうのはこの世界での通貨のことね。


 なら、外に出て戦ってくるか。まったく、選択肢なんて最初から1つしかなかったじゃん。


 ―――というわけで、草原に来ました!めちゃくちゃ人がいて狩れないかと思ったんだけど…。思った以上に広くてそんなことはなかった。これは助かる!


「キュイ!」

「わ、もふもふしてる…。可愛い」


 けど普通に倒すよ。可愛いからって手は抜かない。えーっと、【鑑定】発動!



 ◇ホーンウサピョン

 兎。この魔物からとれる肉は美味しい。焼いても美味しい、煮ても蒸しても美味しい。癖のない味。火、炎系の攻撃をすると倒された後に獲得できる毛皮にもふもふの毛はつかない。使わないともふもふの毛がついたまま獲得できる。


 …え?あの、本体の情報が兎しかないんだけど。それ以外は肉と毛皮だから…ドロップ品の話しかしてない。ちょ、あの、嘘でしょう?見間違いだよね…?


 そう信じたくてもう一度【鑑定】を発動する。だが何回見ても鑑定結果が変わることはなかった。えぇ…。マジか。


「キュイ!キュイキュイキュイ!!」

「…。」


 頑張って攻撃してきてるけど、それが私に当たることはない。動きも遅いし、単調で読みやすい。さっさと倒そう。


 そう思って、知らぬ間にアイテムボックスにあった様々な武器から片手剣を取り出す。そのまま切りかかると、スキルアシストが少ししか感じられなかった。気づかないだけでもう発動してるのかな。


「キュ、キュイー…」

「ドロップ品は勝手にアイテムボックスに入るんだ。へぇ、これはいいね。取り忘れる心配もないし、誰かにとられる心配もしなくていい。ふははっ…」


 少し気になることがあったので安全なところに行く。さっき辺りを観察して、木陰には魔物が出ないことを確認済みなのでそこに行った。


 ―――所持済みのスキルを確認していたらとんでもないことがわかった。そう、さっき片手剣を出して戦ったのだが…。片手剣に関係するスキルはおろか、剣に関係するスキルも持っていなかったのだ。


 なら、と疑問が出てきた。さっき、少しだけだけど感じたスキルアシストはなんだろう?そういうスキルを持ってないからスキルアシストを感じるはずがないんだけど…。


 そこで思い当たることが1つあった。もしかして、【旅の心得】のおかげ?戦闘も旅に関することとして判断されているから、スキルアシストを感じたのかな。多分きっとおそらくそうだ。うん。次は杖か本を使うように気を付けよう。せっかく魔法系のスキルをとったのに剣ばかり使ってたら意味がない。それと、スキルポイントを獲得したら片手剣のスキルをとろう。別に両方使ったっていいでしょ。獲得できるスキルの経験値は分散されるから少なくなるだろうけど…。

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