表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才の弟  作者:
52/81

52 いや、まさか

「草間くん、結構待った?」

 スニーカーの足元が見える。オレはスマホから顔を上げた。

 思ったよりスポーティというかカジュアルというか、似合う服装をしていた。いつも下ろしている髪も結んでいる。

「いや、全然」

 年末最後の活動日。河原さんと待ち合わせの日。

 オレは午前だけ部活をして、北門でスマホを触りながら待っていた。

「制服?部活してたの?」

「うん」

「そっか。忙しいんだ。ごめんね」

「いや平気平気」

「そう?じゃあ……どこ食べに行く?」

「あー」

 デートみたい。

 オレのような奴が青春まがいなイベントに入っている今現在。同じような状況は先輩とよくあったが、先輩だからか、なぜか感覚が違う。

 今、河原さんと一緒にいるほうが、世間一般のデートで、先輩とは……なんと言えばいいのか。先輩との関係性の違いから生まれる、自分の中でのちょっとした分類の差、だろうか。

 そう、隣にいる河原さんを見て思った。



 お昼は学校近くのモ○バーガーに行くことにした。歩いて10分ぐらいの距離。

「……なんか、変な感じ」

「普段学校でしか会わないもんな」

「ね」

 彼女は一体どんなつもりで今日オレを誘ったんだろう。隣をバレない程度に見る。……先輩よりは背が高い気がする。

「草間くんはさ」

「ん、なに?」

「いや、後で話すね」

「え?あぁそう?」

「うん」

 穏やかだ。

 元々穏やかな雰囲気を纏ってはいるけど、いつも以上に……。とにかく、非日常感がすごい。

「…………」

「…………」

 沈黙。

 当たり前の結果ではある。オレとしては若干気まずいが、河原さんはというと平然と前を向いて歩いていた。

 ……うん。オレも気まずいとか感じるの、やめよう。

「……着いた」

「入ろう」

 先陣を切って入ってく河原さんについていく。モ○バーガー、初めてだ。ちょっと緊張する。

「なんにする?」

 どうやら機械で注文するスタイルらしい。まったく、デジタル化のスピードがおそろしい。オレ、バーコード決済覚えたの最近なんだけど。

「うーん、先どうぞ」

「あ、そう?じゃあ……ホットドッグ」

 慣れた手つきで操作していく。JKはこういうとこ、頻繁に来るものなのか?オレも同い年ではあるんだけど。

 ……とにかく何頼もう。無難にハンバーガーがいいか。せっかくだから期間限定のやつにしよう。



 注文を終え、少しすると料理ができたみたいだった。

 端の席を確保したオレ達はゆっくり昼ご飯を堪能する。

「……ん、おいしーい」

「お、うまい」

「ね」

 なんか違和感だと思ったら、いただきますって言ってない。心の中でそう呟きながらまた一口食べる。

 半分ぐらいを食べ終わり、ごくっと飲み込んでから尋ねる。

「……ところでさ、話ってなんなの?」

「んーまぁいいか。どっから話そうかな」

 キョロキョロしながら彼女は独り言のように呟いた。

 どっから?

 そんな話す内容あるほどオレ達仲良かったか?いやいや、そんなことはないはずだ。あったらオレ、記憶喪失じゃん。

「草間くん」

「ん?……はい」

 空気が変わった。普通のJK、という感じから独特な雰囲気に変わる。気の所為かもしれないが、若干声が低くなったようにすら感じる。

 オレは目を逸らさず、そのまま次の言葉を待った。

「付き合ってみない?」

「…………はっ?」

 その瞳はどこか、世界を見下しているような、諦めているような。どうも告白とは程遠いものに思えた。

今回字数少なくてすみません……。また更新するので、気長にお待ちください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ