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天才の弟  作者:
40/81

40 バス

「尚ーどこ行くー?」

「ちょっと待ってください。提出物まだ出せてないんで」

 テストが終わってすぐ先輩はオレの教室に来た。思っていたより早かったから、オレは慌てて提出物を係の人に出している。

 リュックを背負い、上着を手に取って、オレは先輩のもとに行った。

「お待たせしました……」

「いやいや。私が早く来すぎたね」

 やっぱり怒ったりしないんだよな、先輩は。まぁ、それは置いといて。

「どこにしますか?」

「うーん。ゆ○タウンとか?こっからバス10分ぐらいで着くんだけど」

「おーいいじゃないですか」

「じゃあ、そこで」

 そういえばあったな、ゆ○タウン。あんまり行ったことないけど。

「フードコートかレストランか」

「……正直おいしかったらどこでもいい」

「わかるよ…………まぁ、後で決めようか」

「ですね」

 学校前のバス乗り場に着く。時刻表…………あ、あと、

「5分後?」

「そうだね、よかった良い時間あって」

「そうですね。バスっていくらだっけ」

「多分、200円」

「おっけー。小銭あるかな」

 財布を出し、中身を確認する。あ、ラッキー。あるある。なんなら5枚ある。帰りも残しとこ。

「テストどうだった?」

「あー歴史以外はなんか、できた感じがする」

「えーいいなー。私自信ある教科ないで」

「先輩でそれはないでしょ」

 なんか、ちゃんと勉強してたし。提出物早く終わってたし。絶対上位層にいるはず。

「それがないんだわ」

「えー?」

 わかりやすく肩を落とす。嘘っぽくは見えないけど……え、先輩がそんな悪いってある?

「いや、正直ね?私もそんな悪くないかなーとか思ってたんだけど、周りが頭良すぎてどんどん自信なくす訳」

「へぇーそうなんすね」

「そうなんす。多分君も来年ヤバいよ。今良くても、きっと下に行くのは早いぜ」

「嫌だなあ」

 先輩でそれってことは、かなり周りは頭良いんだろうな。オレ、あんま勉強してないけど大丈夫か?それでもなかなかやる気が起きないんだけど。

「まぁ、遊べるうちに遊んどかないとね」

「それも大事っすね」

「あ、バス来た」

 先輩に続いて乗り込む。乗客はいるにはいるが、割と空いてるな。二人席に座る。…………思ったより狭いかもしれない。

「…………」

「……ふぁーあ」

「ふっ眠いですか?」

 隣であくびをする先輩を見て思わず口角が上がる。

 先輩はムッとした顔でこちらを見る。全然迫力ないなー。

「そりゃ眠いでしょ。テスト終わりだよ?」

「まぁ、そりゃそうすね」

 さすがに眠い。昼飯食べたら寝れるかもなぁ。

「あ、髪」

「え?」

 先輩がオレの肩の方に手を伸ばす。…………距離近っ。距離感バグってるだろ。

 どうやら肩に髪がついていたらしい。掴んだそれを 掲げて見せてくれる。

「ありがとうございます」

「いえいえ」

 先輩はその髪をじっと見つめ、触っている。若干眉が寄ってる。どういう表情?

「えっと…………」

「尚の髪、硬いね」

「え?…………まぁ、そうですね……」

 オレは自分の髪を触る。他人様の髪を触る機会なんて早々ないが、確かに硬いとは思う。

「ストレートだね」

「あ、はい」

 …………どういう会話?テンポがわからん。とりあえず先輩の様子を窺う。

「あ、羨ましいって話ね」

 察してくれたらしい。

「え、羨ましい…………そういう顔だったのか」

 羨ましいかぁ…………。

「先輩の髪、ふわふわそうでいいのに」

「触る?」

「…………えっ?」

「髪、触ってみる?私も尚の髪、何回か触ってるし」

 そんな触ってたっけ?…………あ、電車のときか。アホ毛立ってたって言われたっけ。

「……………………」

「……………………」

 お互い黙る。いや、さすがに男子が女子の髪触るとか、いろいろ問題が……いろいろってなんだ?

「や、遠慮しときます」

「え?なんで」

「…………セクハラになりません?」

「ならんでしょ」

 心底不思議そうにこちらを見つめる。さすがに、な?

「先輩も先輩ですよ。誰にでもそんなこと言ってちゃ、勘違いとかされますよ……距離感バグってるし」

 これは本当に理解していただきたい。距離感おかしいってことを。きっと先輩は無自覚なんだろうけど。

「…………尚以外にしてないって」

「え?」

 言葉がうまく理解できなくて、聞き返す。オレ以外にしてない?…………いや、違うな。あれだ。かわいい後輩的なやつ。かわいくはないと思うが。それでもいいか。仲良いってことだ。

「なんでもない」

 聞き返したが、もう言ってくれないらしい。先輩は窓の外を見ている。やっぱりよくわからんな、先輩は。

 まぁ、いいや。今楽しけりゃ。

更新遅くなってしまってすみません。いつも読んでくれてる方、ありがとうございます!

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