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天才の弟  作者:
4/75

4 放課後

「ねぇ、尚」

「なんすか先輩」

「なんで絵、描いてんの?」

「なんでって、そんなの……」

 ちらっと先輩を見る。大きな瞳でこちらを見ていた。なんとなくそらす。

「……たぶん、好きだから」

「へーそっか。そうだよねー」

 視線が、外れた気がする。

 なんで、か。オレもオレ自身に何度か問いかけたことがある。オレはなんで絵を描くのか、なんのために描くのか。でも、いつも何かがつかえたまんま。

「羨ましいなぁ。私もなんかあったらなぁ」

「なんかって」

「うん、好きなもの」

「ありそうなのに」

 半分独り言で言う。こんだけ知らない人に話しかけられんだから、好きなものぐらいあるでしょ。

「……ないんだ。私にはなぁんにもない」

 視線を先輩に向ける。と、何か小さい声で言った。

「な、」

「ねぇ、尚」

 なんて言ったんですか、と言おうとしてすぐ遮られた。

「……何ですか」

「いや……なんでもない。何言おうとしたか忘れちゃった」

 ははっと笑い飛ばされた。

「屋上、行ってみたくない?」

「え……まぁたしかに」

「行こう!」

「え、は?」

 なんだと思う間に腕を引っ張られる。

「あ、ちょ」

 筆がキャンバスに当たる。あーあ。

「ごーごー!」

 空気なんてガン無視でずんずん進む。

 廊下にぜんぶ、置いてきたじゃねぇか。


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