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天才の弟  作者:
3/74

3 尚

「草間くんお昼一緒どう?」「草間くん部活ついてっていい?」「草間くん。あ、トイレ?」「明日暇?草間くん」「草間くん」「草間くん」「草間くん」「草間くん」……………………………………………………………………

「あっのー、先輩?」

「なんだい?」

「正直言って迷惑です。お帰りください」

「おぉー」

「えぇ?」

 なぜか先輩は感心したようにわらう。

「君は正直だねぇ……」

「……どうも」

 ははっ、と先輩はまた笑う。その様子に寂しさは感じられない。

「良いと思う。自分の気持ち正直に言えるのは強いよ?」

「そうすか、ね」

 あれ。オレなんの話してたんだっけ。

「じゃあ頃合い見ながら……う〜ん一日一回?」

「……多くないすか」

「部活のときだけ、的な」

「だったらまぁ……」

「おっけー。部活てあれ?美術室?」

「いや……自由なんで外とか廊下とか」

 けど、最近寒いんだよなあ……。やっぱ美術室のがいいか?

「え、すご画家みたい」

 先輩にしては珍しく目を丸くしている。得も言われぬ感情になる。初めて得も言われぬ、とか思ったかも。

「じゃあさ、放課後掃除終わったら行くから待ってて」

「……行くって、オレの教室に?」

「迷惑?」

「いや……ヘンな噂立てられても知りませんよ」

「いいんだよ私は、ってやさしーね草間くん」

「…………その『草間くん』ての辞めてもらえませんかね」

 ずっと引っかかっていた。なんかなぁ。思い出すんだよなぁ。

「え?じゃあ尚?」

「まさかのいきなり下の名前」

「え?違うの?」

「違うでしょ」

 なんか感覚が違う……。けど、それが逆に楽しいと思ってしまった自分に驚く。

「まあいいや、それで」

「そ?じゃあまた放課後ー」

「うい」

 ようやく静かになる。そして自分の口角が上がっていることに驚いた。オレ、いつもどんな顔してたっけ。

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