天才生徒会長へのチェックメイトと脳筋ツインテール
脳筋ツインテール少女シリーズ第4弾――――!!!!
夕焼けの落ち着いた生徒会室。
今日も副会長の透凸田えるは会長の霧笛海鳥にチェスを挑む。
えるは学年首席の頭脳を持つ男・海鳥に一度も勝ったことがない。負けず嫌いの彼女はチェスのいろはを繰り返し学び、毎日のように勝負を仕掛けていた。
今日は生徒会引退の日。
「僕に会えなくなるのが寂しいのかい?」
「ち、違います!」
「はははっ。このやりとりも今日で最後かもしれないね」
「……っ」
えるは改めて決意を固くする。万年無敗の霧笛海鳥に勝利し――――彼のハートを手に入れる。そうすれば、引退した後も続けられるから。
「チェックメイトです!」
「……ほう」
初めて海鳥の表情が崩れた。
えるは彼の駒の動かし方を記録し既存の戦術と照らし合わせることで、彼女はプロが導き出した最適解を頭に叩き込んだ。
「くくくっ。勝者にはそれなりの報酬があって然るべきです」
「何を望む?」
「――――会長とのこれからの時間を」
言った。言ってやった。もう勢いで言うしかなかった。心臓が爆発しそうで、自分が今どんな顔をしているのか分かったもんじゃない。
えるは逃げ出したい感情を必死に抑え込む。
「それは不可能だよ、えるさん」
「……え?」
否定。うるさかった心臓が握りつぶされるような感覚がして、駆け巡っていた血液が凍りつく。
たった一度、駒の配置を変える。
それだけで形成が見事に逆転した。
「君は僕に勝利できない」
これからもずっとね、と海鳥は片目を閉じて微笑する。
「これからもずっとって……今日で最後じゃないですかあ! ――――はれ?」
海鳥の言いたいことを理解した瞬間、凍りついた心臓が爆発し、耳の先まで熱が溢れ出す。
海鳥は盤上のクイーンを動かし、えるのキングを追い詰めた。本当はキングでクイーンを取れれば完璧なんだけどね、と一言こぼし、
「チェックメイトだよ、えるちゃん」
ドンガラガシャあああんっっっ‼
イチャイチャ指数の高い濃厚な生徒会室の扉が唐突に吹き飛んだ。
粉塵を巻き上げて盤上をめちゃくちゃにしたのは制服をボロボロにしたツインテールの少女だった。口元の血をぬぐい、不敵に笑う。
「油断したぜ。今度はこっちの番だ……ッ!」
◇雰囲気どころか世界観までぶち壊すんじゃない、脳筋ツインテール――――‼