8月4日 第1クール(3日目)
そろそろ休みがほしい頃だ。おそらく、健太郎とかは明日も行くんだろうな。努力が続く健太郎と違って、俺は飽きやすい。最初は、勉強すると意気込んでいたのに、あっという間にモチベーションが下がってしまう。自分らしいと言えば、自分らしいけど。俺は、先生の話をほとんど聞いていなかった。先生が教えている範囲は、この前塾でやったばかりだ。解説を聞くまでもない。おそらく、正解している。俺は、そう思っていた。先生の解説が続く中、俺はこれからのことを考えていた。昨日、チーム健太郎で旅行に行く連絡がきた。みんな行きたい場所は、それぞれだった。チーム健太郎は、俺を入れた5人。
この中で、最もアクティブなのが永谷だった。永谷は、沖縄をチョイスした。まだ、日程は決まっていないがスキューバダイビングがしたいらしい。永谷らしい選択だ。夏の大会が終わってから、永谷とはまだ会ってない。アイツは、この勉強会すら来てない。本来であれば俺と同じクラスなんだから、近くにいてもおかしくないのに。そして、2人目が竹田。竹田は、もの静かで野球部だと健太郎以外と絡んでいる姿はあまり見たことがない。しかし、健太郎という人物が俺と竹田を繋いでくれたのだった。竹田が行きたいのは、鹿児島だ。沖縄方面ということだと永谷と一緒だ。3人目が田畑。田畑は、大学進学希望ではないためおそらく勉強はしていないだろう。正直言えば、学校からかなり離れているから、何をしているかは誰も検討がつかない。田畑は、飯田と仲がいいが二人は別方向。連絡している感じだと、この夏一番楽しんでいるのかもしれない。そんな田畑が行きたいところは、永谷と別方向である北海道。
俺は、正直どこでもよかったから、行きたい場所は伝えていない。最後は、健太郎がジャッジすることになるだろうな。よくもわるくも、このチームは健太郎の一存で決まる。決して硬い絆で結ばれているわけではないが、健太郎の頼みだとみんな断れない。健太郎は、そんな不思議な力を持っていたのだ。健太郎は、前方で授業を聞きながら、黙々とメモをとっている様子。健太郎だけは、心から行きたい大学に進学してほしいと俺は思っている。ただ、アイツは不器用だからな。ちゃんと努力が実を結べばいいんだけど。健太郎のことを考えていると、ちょうど先生の解説が終わり、休憩の時間に入ろうとしていたのだった。みんなの大きな声が聞こえ、俺は現実世界に呼び戻された。




