表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/75

5月24日 練習試合(白峰工業高校戦)

 練習禁止になって今日が3日目。本日は、聖徳高校のグラウンドで、白峰工業高校との練習試合が行われていた。もちろん、俺は試合に出場することができない。今日は、永谷と一緒にバックネット裏の掃除をしていた。俺がスタメンから抜けたこともあり、守備位置や打順も大幅に変更されていた。中でも、驚いたのが1年生の田中だろう。昨日の健太郎の話では、2日前からバッティング練習とシートノックに参加しているらしい。


 〈聖徳高校スタメン〉

 1番 八幡修也 セカンド   3年生

 2番 田中優聖 ショート   1年生

 3番 橋本涼太 キャッチャー 3年生

 4番 川中衛  ファースト  3年生

 5番 佐伯浩二 サード    3年生

 6番 早川直人 レフト    2年生

 7番 橘怜衣  ライト    3年生

 8番 小川純希 センター   2年生

 9番 竹田衣玖 ピッチャー  2年生


 〈聖徳高校ベンチ〉

   定本健太郎 3年生

   田畑誠   3年生

   山田悠太  3年生

   飯田徹   3年生

   塩尻郷   3年生

   葛西弘毅  3年生

   向井雅   2年生

   安田智久  2年生

   山田隼人  2年生

   柳田龍   2年生

   奥本学   2年生

   柴田優雅  2年生

 

 〈ベンチ外〉

   山里侑大  3年生

   永谷満   3年生


 道和高校で打ちこまれた橘は、ライトでの出場だった。注目は、竹田がどれくらい白峰工業打線に通用するかだった。しかし、3回もたずに、マウンドを降りてしまうかたちになってしまった。白峰工業高校の4番梅澤には、2打席連続でホームランを打つなど、野球のレベルが明らかに違っていた。竹田の後を、葛西、八幡とつなぐも、白峰工業打線を止めることができず、7回まで12失点をしてしまった。

 一方の打線も6回までノーヒットと完全になすすべがなかった。特に、白峰工業高校の投手である三好の速いストレートとスローカーブに翻弄されており、毎回の10奪三振をしてしまっていた。

 そして、12対0で迎えた8回。聖徳高校は、小川の代打で健太郎が打席にたった。今日も気合いが入った凛々しい表情をしていた。俺は、健太郎の打席をホウキを持ちながら見ていた。

 白峰工業高校の三好は、初球ストレートを投げ込んだ。健太郎は、見逃した。「ボール」。健太郎は、打席を外して、1回、2回とスイングをする。そして、再び打席に戻った。

 三好は、2球目もストレートを投げ込んだ。1球目同様、健太郎は、ボールを降らなかった。「ボール」。俺は、ホウキを置いて完全に試合を見ていた。

 そして、3球目。三好は、またしてもストレートを投げ込んだ。健太郎は、綺麗なバッティングフォームから、バントの構えに代わった。そして、ボールはバットに当たって三塁前に転がった。

 健太郎、走れ。走れ。胸にとどめていた声が漏れそうになる。健太郎は、一塁まで走る。三塁前に転がったボールを、三塁手が捕り、一塁へ送球する。俺は、前のめりになりながら、審判の判定に目を向ける。

 「セーフ」。グラウンド上の聖徳高校の選手たちの大きな声が聞こえる。今までの健太郎の努力を近くで見てきただけに本当に嬉しかった。"このままでは、終われない"。健太郎の必死な姿をみて武者震いをする俺だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ