8月2日 第1クール
今日は、朝から廃品回収が行われている様だった。俺は、朝から、お母さんたちが手伝っているのを見ながら、ここまでやってきてたのだ。まだ、真夏の暑さが残る中、よくできるなと俺は関心してしまう。同じ野球部の八幡たちも手伝っているみたいだ。今日から始まった夏期講習は、第1クールが2日から9日まで。第2クールが17日から24日まで。俺は、どの程度参加するかはまだ決めていなかった。塾に行かなくても、こうして教えてくれる機会があるというのは、本当に恵まれていた。俺がいるのは、市の公共施設の一角だった。普段は、イベントなどが開催される時だけ開放される部屋で、ここに入れるのは特別だった。
俺たちは、長い机と椅子は整然と並んでいるこの部屋にいた。俺は、5組の生徒たちの近くに座っている。健太郎や川中など今日来る予定だった人はまだ見ていない。蛍光灯の灯りは白く澄んでいて、時折、天井の光ファイバーが細かな点滅を返していた。残り5分。俺は、最終問題を解き終えたのだ。第1クールの初日。先生の講義を聞いた後、復習問題を解くという流れだった。この後、俺は塾へと場所を変え、再び勉強を行う。俺 同じ5組の井上たちと後ろの席に座っていたこともあり、壁にイベントのポスターが貼られているのに気がついた。ポスターは、8月15日、16日の夏祭りについてだった。もうこの時期かぁ。俺たちは、野球に熱中していたこともあり、夏祭りのことなんて覚えていなかった。
高校に入ってからは、野球部の奴らと毎年行っていたな。そういえば、今年はどうするのだろうか?今のところ連絡はない。今年は、行かないのかもしれないな。野球部の進路は、大きく異なる。俺や健太郎のように当たり前に高い大学を目指すものもいれば、橋本や橘のように推薦などでいける大学に行く者もいる。佐伯や飯田みたいに、就職をする奴もいる。野球を辞めてからも、みんな同じようにとはいかないだろう。そんなことを考えると、野球を辞めたという実感が湧いてくる。まぁ、当たり前だろうな。いつかは、野球を辞めたことが当たり前にもなるんだろう。そんな日が近いのか遠いのかすらわからない。先生の終了の合図とともに、俺はカバンから水筒を取り出し、一気に喉元へと水分を入れていく。さっきの休憩時間、あまり水分補給ができなかったこともあり飲むスピードが速い。先生のプリント回収のアナウンスとともに、俺はプリントを前に渡し始めたのだった。




