7月31日 図書館
家にいても、何も変わらないと思い健太郎を誘い、勉強をすることにしたのだった。正直、負けたことは引きずっていた。でも、そんなことではいつになっても切り替えれない。俺は、新たな道に進むのだ。
俺 「どうだ、少しは切り替えれたか?」
健太郎「切り替えるも何も、いつかは終わることだしな」
俺 「そうだな」
そう言ったものの、もう高校で野球ができないと思うと、寂しい思いが込み上げてくる。たしかに、勉強も大事だ。でも、俺の3年間は間違いなく野球で作られたものだった。
健太郎「むしろ、早く勉強できてありがたいよ」
俺 「ハハハハハ。たしかに、それはある」
健太郎「いつから?勉強会」
俺 「2日からだ」
聖徳高校は、受験生のための特別授業が開催されることになっていた。これは、夏休み期間限定のものだ。自主学習でも、よかったけどせっかくだからと思いふみだしたのだった。
健太郎「行くのか?」
俺 「もちろん。どうせ、やることなくなったしな」
健太郎「それは、そうだな」
他の野球部員たちが、どう思っているかはわからない。でも、俺はさっさと次のステージに行って勉強するしかないのだ。
俺 「健太郎も行くのか?」
健太郎「ああ。まぁ、ちゃんとついていけるかは心配だけどな」
俺 「大丈夫だよ、お前なら」
健太郎が行くなら、ちょうど俺の話し相手にもなる。
健太郎「どうだかな?」
俺 「心配しすぎだよ」
健太郎「お前が頭がいいから困ってるんだよ」
俺 「そんなことねぇよ」
健太郎は、いつも頭がいいと言ってくるが、俺はそう思ったことは一度もない。自分を過度に評価することはなく勉強するしかないのだ。
健太郎「じゃあ、勉強しに戻るわ」
俺 「オッケー」
健太郎「今日、何時に帰る?」
俺 「17時かな」
この後、俺は塾に行かないといけない。そうなると、ここを17時には家を出ないといけなかったのだ。
健太郎「この後、塾か?」
俺 「ああ」
健太郎「お前も大変だな」
俺 「まぁ、金もかかってるしな」
塾に行けるというのは、当たり前ではない。この環境に慣れてはいけない。常に感謝しなければ。
健太郎「じゃあ、行くわ」
俺 「オッケー」
俺たちは、お互い手をあげ、別々の道へと歩き始めたのだった。




