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7月27日 ヤマ

 ノックが始まる前に、監督は明日のスタメンを発表した。早川から、小川に変更があったがそれ以外の変更はなかった。昨日ヒットを打っていただけに納得がいかないんじゃないだろうか?外野には、3年の控えが多くいた。俺を除けば、試合に出ていない選手ばかり。永谷、田畑、山田。そして、早川。思うところはあるだろうけど、なんとか顔に出さずに声を出していた。

 負けたら終わりの夏の大会は進んでいく。一昨日、海美高校はあっけなく初戦敗退で、最後の大会が終了した。次は、俺たちだと思うと何ともいえない気持ちになっていた。対戦相手も海美高校をや破った千川第二高校。1回戦は、海美高校相手に7対0のスコア。海美高校は、エースの春風は投げずに負けてしまった様だ。なぜ、投げなかったのかはわからない。一方、千川第二は、背番号1の村上が9回完封勝利となった。1回戦のように、データがとても多いというわけではない。海美高校戦で投げている様子しかない。

 もし、明日投げなければ今日の対策は意味をなさない。それでも、強豪校ではない俺たちはそれくらいしかできなかった。監督が言うには、千川第二高校には、エースの村上と二番手の島谷というピッチャーがいるらしい。この前の試合では、ブルペンにすら入ってないし情報はほとんどない。監督からは、知らないピッチャーの対策をしても意味がないと指示が出ていた。そのため、エースの村上の球種であるストレートとカーブの練習だけするようにフリーバッティングでは言われていた。俺は、ストレートはいける気がしたので、バッティングの大半をカーブに費やした。

 感触は決して悪くなかった。イメージ通りの右方向へのバッティング。後は、ヤマをはるかどうか。それだけだ。取手高校との4打席では、ヤマをはったバッティングはしていない。げんを担いで、明日もしない方がいいだろうか?それだけが唯一の悩みだった。

 明日、先発ピッチャーの橘は、今日もブルペンから投げ込んでいた。昨日から、夏休みに入った俺たちは、どこの部活動も活気に満ち溢れていた。サッカー部も陸上部もソフトボール部も最後の大会を控え、調整に入っていた。このノックが終われば、今日はもう終わり。いつもよりも早い。しかし、今日ばかりは早く終わりたいと思う者は少ないだろう。明後日も、野球を続けたい。それが俺の本音だった。飛んできたボールを捕球し、セカンドの健太郎へとボールを返したのだった。

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