7月24日 明日
明日の同じ時間、俺たちはどんな想いでいるだろうか?それを考えると興奮してしまう。俺たちは、明日夏の大会初戦の取手高校と戦う。俺は、おそらく1番センターで出ると思う。最後の大会ということもあり、親も来るだろう。親が観に来るのは、春の大会以来だ。お父さんは、楽しみで仕方がないようだ。別に俺に打つように圧をかけるわけではないけど、大会というだけで盛り上がるみたいだ。お母さんは、他のママ友に会えるのが嬉しいようだ。そんなことを考えていると、自転車置き場に着いた。俺と健太郎は、止める場所が少し違うからそれぞれ離れた。チャリに乗った健太郎は俺の前にやってくる。そして、健太郎が差し出した拳に向かってグータッチを交わした。
健太郎「おつー」
俺 「やっと終わったな」
俺よりも、健太郎はこの3年間ずっと激動だった。もともと、違う部活動に入ると思ってたのに。まさか、また野球するとは思わなかった。
健太郎「だな」
俺 「明日、楽しみ?」
健太郎は、何を思っているのだろうか?おそらく、健太郎と野球をするのもこの夏が最後だ。
健太郎「まぁ、勝てるんだったらな」
俺 「それはそうだな」
明日のことを考えると、今から浮き足立ってしまう。
健太郎「負けたら、終わり。それは、それで楽しいかもしれないけどな」
俺 「あんま想像できないな」
負けたら終わりだとわかっているけど、その姿は想像できないというのはたしかだ。
健太郎「案外、楽しいと思うぜ」
俺 「野球、したくなるんじゃないか?」
健太郎は、全くそういう感じはしなかった。そりゃあ、そうか。
健太郎「お前ほど、野球熱高くないから」
俺 「あんだけ練習してるのに?」
健太郎は、俺の方が野球熱が高いと思っていたんだ。
健太郎「練習してるからだよ」
俺 「そうなんだ」
小学校からずっとコイツと一緒にやってきた。簡単に終わりたくないな。
健太郎「じゃあ、明日はサクッと勝って寿命伸ばしますか」
俺 「そうしよう」
一瞬、グラウンドを見てすぐ目線を変えた。
健太郎「じゃあ、帰んぞ」
俺 「おっけー」
先にスタートした健太郎の背中を見て、俺も自転車を漕ぎ出した。
健太郎「明日、勝ってこのグラウンドに帰る」
自転車に漕いでいる健太郎を見るととても面白かった。




