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7月22日 練習試合(東宝高校戦)9

 大会初戦まで残り2日。俺は、グローブをはめながら声を出していた。今日は、ベンチ入りしたメンバーだけでノックが行われている。ピッチャーの橘、キャッチャーの橋本の大きな声が聞こえてくる。アイツら今日もはりきってるな。ファーストには川中が内野のボールをさばいていた。俺のポジションであるセンターには、永谷と山田。3人体制だった。レフトとセンターには、安田と小川が守っている。初戦、こいつらが横を守るのだろうか?

 

 ー7月14日ー


 ここで健太郎かぁ。盛り上がってきたなぁ。健太郎は、笑顔を見せながらバッターボックスに入っていた。ノーアウトランナー三塁。ここで、どんなバッティングを見せるのだろうか?ピッチャーの東阪は、まだ本調子ではないのか。まったく焦るそぶりが見られない。東阪は、ロジンバックを投げ捨て、キャッチャーのサインに頷いた。セットポジションから第一球目が放たれた。

 バッターの健太郎は打つ構えからバットをねかした。まさか、、、、、。監督のサインを見ていなかったことを後悔した。バットとボールが当たった瞬間、俺はあの日のことを思い出した。あれは、GWだっただろうか?多田高校との練習試合だった。あの日、健太郎はバントをミスってとても監督に怒られていた。バント自体はきっちりできていただけに、転がした方向だけが間違えていた。あの日の試合が終わってからは、ずっと 「なんで、一塁前に転がさなかったんだ」と下を向いていた。

 健太郎のバントは、あの日の後悔をかき消すように、きっちりファーストの方に飛んでいく。あまりにもキレイなバントだったということもあり、ピッチャーとファーストが思いっきりダッシュすることはなかった。ピッチャーの東阪は、ホームが無理だと諦め、ファーストに手を出す。そして、左腕を伸ばしグローブでボールをとる。そして、ファーストに向かってボールを投げた。健太郎は、安堵の様子を見せながら帰ってくる。

 俺は、最前列に立ち帰ってくる健太郎を見つめた。ベンチからは、「ナイスバント」と大きな声を出す。帰ってきた健太郎をサヨナラ打を打った選手を迎えるように頭を叩きまくっていた。同学年にまじって向井も声を出している。健太郎のスクイズが決まったことはやっぱり嬉しかった。しかし、そんな俺たちとは異なり、点数をとられた東阪は何も思っていないようだった。もしかしたら、コイツここから本気で投げるんじゃないか?

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