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7月21日 練習試合(東宝高校戦)8

 7月25日の初戦まで残り4日。俺は、健太郎と練習をしていた。調子は悪くない。あとは、本番でどういう結果につながるか。それだけだった。俺が打つ1番。これは、ただの1番目のバッターではない。そう言われたのは、目の前にいる健太郎だ。昔は、健太郎と俺のどちらかが1番というのが当たり前だった。健太郎は、高校に入ってから上位打線を打つことは少なくなったが、今でも健太郎の言葉を信じていたのだ。


 ー7月14日ー


 8回裏。マウンド上には、東阪が上がった。試合は、4対5で俺たちは1点を追う展開。ここで1点とれらたらな。優聖は、打席にゆっくり歩くが興奮を抑えきれない。ここで打てばチームに勢いがつく。それをするのが俺の仕事。ベンチからの声援をあげる。俺はピッチャーの方を見つめながら、バットを持っていた。東阪と言えば、ストレートとチェンジアップ。どちらに絞ろうか?チャンスは、最初のストライク。これに限る。東阪は、キャッチャーのサインに頷きセットポジションに入った。

 左脚を大きく上げ、第1球目を投げてくる。インサイドにきたがストライクゾーンだ。優聖も勢いよくバットを振り出す。バットとボールがきれいに当たるのがわかった。バットを振り抜くと、打球は、左中間へ。抜ける。優聖は、バットを放り投げ走り出した。ボールをレフトとセンターが追いかける。優聖は、一瞬の迷いもなく、セカンドベースに向かう。全力で走り出したこともあり、心臓が高鳴っているのがわかる。向かい風に真っ向から駆けめぐる。これは、サードベースもいけるんじゃないかと思った。セカンドベースに到達した頃、センターはボールを掴み、ショートに投げた。俺は、アウトになることを恐れながらもセカンドベースを回ったのを見つめた。セカンド、サードがショートに大きな声をかける。走りながら、どうなるかわからないという焦りと期待が交錯していく。それでも、絶対セーフになりたいという思いをもちながらサードベースに向かう。ボールを持ったショートはサードベースへボールを投げこむ。足元の土が跳ね上がる。サードは、優聖の足元へグローブを。どっち?どっちだ?ベースに着いた俺の脚と脚の上にあるグローブ。どっちが先なのか?審判は、大きな声をあげ、手を横に広げた。ベンチから大きな歓声が優聖の気分を上げてくれる。あの東阪から打ったんだ。自信につながる。俺は、そう確信した。優聖に続けと言わんばかりに健太郎が打席に向かった。

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