表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/80

7月18日 練習試合(東宝高校戦)5


 ー7月14日ー


 6回裏。ツーアウトランナー3塁。健太郎は、打席に入り、ピッチャーを見つめていた。ここは、打つしかない。俺は、最前列から大きな声をかける。ピッチャーが足を上げて、第1球目をなげこんだ。健太郎は、お尻を後ろに突き出した。インコースにきたボールは、大きく外れた。ボールをよく見ろよ!!少し離れたところから、橘が声をかける。当然、ヒットを打つことが一番理想なのかもしれない。しかし、レギュラーを掴むためには、アウトにならないことも必要だった。

 2球目は、アウトコース低め。再び、バットを振らずにボールを見送った。いいぞ!!次、甘くくるぞ。ノーストライクツーボール。確かに、セオリーで言えばここはストライクが欲しいところ。ここが勝負どころだ。バッターボックスの健太郎は、どのボールを待っているのだろうか?バットをゆっくり肩に置き、サイン交換が終わるのを待った。俺は、祈るように健太郎を見つめる。

 セットポジションに入ったピッチャーは、第3球目を投げこんだ。変化球だ。ベンチから見ていてすぐわかった。ここまで、2球ともストレートだから、ヤマをはれただろうか?健太郎は、スイングをする。しかし、途中でバットを止めた。審判は、どうする。俺たちは、主審に目をやる。手を上にあげ、スイングの判定をとった。ボール球、ボール球!!ベンチから永谷が声をあげる。監督は、真剣な表情をしながら、再び打てのサインを出す。サインに頷きながら、ヘルメットを触る。ここで、打てたらどれだけ楽だろうか。

 ピッチャーは、再びセットポジションに入り、第4球目を投げた。今度は、またしても変化球だ。スライダーだろうか。横から見ていたボールは、ストレートの速度ではなかったことしかわからない。しかし、その変化球を狙っているかのようにバットを振り出した。打球は、金属音とともに、三遊間に飛んでいく。東宝高校ショートの中村は、ボールをめがけて横っ飛びに。手を差し出したそのグローブの先にボールは吸い込まれていく。ショート中村は、すぐさま立ち上がり一塁へと送球する。一方、打ったランナー健太郎は、全力疾走で一塁へと向かう。ちょうどボールがファーストに着いた頃に、健太郎もベースを踏む。判定は、いかに、、、、、、。俺たちは、固唾を飲んで、審判の様子を見守った。両手を大きく横に広げると、俺たちのベンチが盛り上がったのだったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ